イギリスにて猫の傷をマヌカハニーで治療しようとした飼い主に「適切なケアを怠った」として有罪判決が下されました。しかし、少しばかり罪が重すぎるとしてネット上では疑問の声も上がっています。
マヌカハニーでの治療
マヌカハニーはハチミツであり、抗菌作用があると考えられており、軽度な外傷などに適応されるようです。その作用については科学的にしっかりと証明されているわけではないため、あまり使用は推奨できないとされています(NHS)。以前には、軽度な火傷を負った猫に対してマヌカハニーを塗ることで、傷の回復を促進するという治療を獣医師が行っていたこともあります(Mirror)。
今回、有罪判決を受けたDenise Smithさん58歳は飼い猫”Blacky”前足部分にできた傷にマヌカハニーを使用し、治療を行っていました(BBC)。しかし、Blackyを見かけた市民よりRSPCAに通報があり、職員が出向いたところBlackyの傷は腱まで及んでいることが判明し、すぐさま動物病院に連れて行きました(independent, telegraph)。その結果、Blackyの傷はガンであることがわかり、すぐさま足の切断が行われました。手術は無事に成功したものの、ガンが再発してしまい、最終的に安楽死が選択されることになりました。
有罪判決
飼い主のDenise Smithさんは本来ならば猫が受けなければならい適切な獣医療を提供しなかったとして有罪判決を受けることになりました。課せられたのは罰金£615(約9万円)と12ヶ月間のペット飼養禁止でした。
RSPCAの担当者によると、「少しでもペットに異常がある場合にはすぐさま獣医師などによるアドバイスが必要である。マヌカハニーは浅い傷などに使用されることもあるが、あくまでも補完的な役割であり、獣医療によるケアやアドバイスの代用となるものではない。」としています(independent)。
議論
この判決に対して、ネット上では少し罪が重すぎると疑問の声も上がっています。これはSmithさんがBlackyの傷を治すために、マヌカハニーを使用していたからです。彼女はネット上にてマヌカハニーが傷の治癒を促すという効果があるということを知ったようです(telegraph)。
彼女は飼い猫に無頓着でネグレクトであったというわけではなく、彼女なりにできる範囲のことをしただけではないか?という声が上がっています(DOSBODS)。また、動物病院がもう少し手頃な値段でサービスを提供してくれるのであれば、彼女ももう少し気軽に動物病院に行けたかもしれないなどの意見も出ています。
まとめ
ネット上では様々な意見がありますが、どの意見も推測に基づいている部分が多いため、否定も肯定もすることができません。ただ、自己流の治療ではなく、適切な獣医療を施していれば、Blackyは苦痛をあまり感じることなく、長生きできていた確率が高くなっていたことでしょう。しかし、なぜ彼女が動物病院ではなく、マヌカハニーによる治療に頼ったのでしょうか?その理由や背景にとても重要な意味合いがあるような気がします。
先日、RCVSは獣医療におけるホメオパシーに関する声明を発表し、あくまでも補完療法であるということが明示されました。詳しくはこちらの記事を参照ください。
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