日本では猫の医療費は保険や自費で払うことが一般的ですが、アメリカやカナダでは猫の医療費をクラウドファンディングで集めることが一般的になりつつあります。
猫の医療が発達し、様々な治療手段が選択可能になることはいいことですが、その分、飼い主にかかる医療費は高くなります。また、多頭飼いを行っている環境下では1匹だけの費用だけでなく、複数の猫の費用を負担しなければならないこともあります。
たとえ保険に加入していたとしても、保険対象外の疾患の治療費、検査費用、医薬品にかかる費用などは自己負担になります。また保険には回数制限などもあるため、高齢の猫などに多い慢性的な疾患ではなかなかの費用が請求されることになります。
そんな問題を解決する方法の一つとしてクラウドファンディングがあり、アメリカやカナダでは多くの猫の飼い主が利用しています。
個々の猫に対するクラウドファンディング
クラウドファンディングとはあるプロジェクトに興味を持った人たちが、そのプロジェクトに出資し、目標金額に達するとクラウドファンディングが成功となり、プロジェクト企画者に出資金が支払われるという仕組みです。従来のクラウドファンディングのプロジェクトは「商品開発」や「イベントの企画」などが多かったのですが、ここ数年で個人に対するクラウドファンディングが流行っています。
その一環として、個々の猫や犬などの動物に対するクラウドファンディングも流行しています。流れとしてはこんな感じです。ある病気の猫を持つ飼い主が治療にかかる費用を算出し、その費用を目的にプロジェクトを作成します。そして、プロジェクトの猫を救いたいと思う人たちが寄付を行い、その寄付金額に到達した時点で猫の飼い主に費用が支払われます(目標金額に到達しなくても寄付された金額が、そのまま支払われることもあります)。
猫のクラウドファンディングの種類
アメリカやカナダで有名なクラウドファンディングサイトにはgofundmeやPlumfund、PetChanceなどがあります。
gofundme
gofundmeは動物関係以外にも様々な個人のクラウドファンディングを行っている有名なクラウドファンディングサイトです。その中には猫だけなく、チンパンジーの保護などのプロジェクトもあります。手数料は一つの寄付につき7.9%+0.30ドルと高価になりますが、訪問者が多いため、比較的お金が集まりやすいようです。
gofundmeの猫に関するプロジェクトには個々の猫の治療費に関するプロジェクトもありますが、保護猫活動を行うシェルターの活動費用に関するプロジェクトもあり、種類が豊富なのが特徴的です。
Plumfund
Plumfundはgofundmeほど大手ではないものの、様々な個人プロジェクトを扱っています。動物専用のページでは、動物病院の支払いに関するプロジェクトばかりが存在しています。そのため、猫のプロジェクトの多くは個々の猫の治療費に関するものばかりになります。
手数料は電子決済やクレジット決済などを使用する際のみ発生し、その割合は2.8%+0.30ドルとなっており、手数料が極めてやすく設定されています。
PetChance
上記2つのクラウドファンディングのサイトは、寄付したお金が猫の飼い主の元に直接届きます。しかし、全く知らない人のところに送金するのは少し不安になりますよね?本当にそのお金を適切に使用してくれるのかもわかりませんし、最悪の場合は詐欺に引っかかることもあります。
そういった不安を解決したのがこのPetChanceになります。このクラウドファンディングサイトは寄付したお金が、プロジェクトの猫が通院する動物病院に直接支払われます。そのため、全くもって知らない人に寄付したお金を悪用されるリスクがほぼなくなります。
PetChanceには猫と犬の医療費に関するプロジェクトがたくさん存在しており、助けたい猫のプロジェクトに寄付することができます。サイト内のプロジェクトを見てみると、寄付金が集まっていないプロジェクトも多く存在しており、寄付金がなかなか集まらないという問題もありそうです。PetChanceの手数料は6.5%となっています。
まとめ
猫にかかった高額の医療費をクラウドファンディングを利用して支払うことがアメリカやカナダでは一般的になりつつあります。数年後には日本でも一般的になっているかもしれません。しかし、このシステムに対しては賛否両論あると思います。例えば、プロジェクトを選り好みし、どの猫を助けるべきか判断することに対してすごく罪悪感が生まれてしまいます。どの猫が優先すべきかを個々が判断するのが難しいですよね。
最近では、SNSを利用している方が多いので友人やフォロワー、家族、親族などの限られた範囲だけでプロジェクトが遂行できるようになったりすると、寄付なども行いやすくなり、面白いような気がします。
ちなみに、一般的なクラウドファンディングとは違い、個々の猫に寄付をしても特に見返りがもらえるわけではありません。治療の進度やその経過などについての報告などが行わられるだけになります。
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