京都市に位置する立命館大学衣笠キャンパスには野良猫が生息しており、同大学の猫サークル「立命館大学猫の会RitsCat」により世話が行われています。RitsCatは毎日休むことなくキャンパス内にいる猫の世話を行っています。この記事では同サークルの日々の活動について紹介していきます。
立命館大学猫の会 RitsCat
立命館大学猫の会RitsCatは2011年に発足し、現在に至るまで1日たりとも休むことなくキャンパス内の野良猫の世話をしています。発足当初は野良猫が20匹程度おり、キャンパス内のゴミなどを荒らし、大学側も頭を抱えるような状況でした。大学側はその対応を学生に任せる形で同猫サークルが発足されました。同猫サークルの主な目的は「無責任に放置された猫を減らすための大学環境・地域環境を目指すこと、大学内に住む猫についての認識や問題意識を喚起すること」です。
2017年10月現在、約80名のサークルメンバーが所属しており、男女比は4:6と女性の方が多い構成となっています。サークルでは1人あたり1,500円の年会費を徴収しており、それを資金として、猫の世話に必要な用具や餌の購入、医療費、活動費などに充当しています。年会費については今後変動する可能性があります。
猫の世話
猫の世話は毎日午前と午後の2回行われ、午前の部では3人、午後の部では5人のメンバーが猫の世話を行っていきます。世話についてはシフト制になっており、毎日異なるメンバーが世話を行っています。現在学内には6匹の猫がおり、2ヶ所の給餌場所と7ヶ所の猫トイレがあります。トイレ掃除は午後の部でのみ行われます。そして、毎日の猫の様子をしっかりとノートに記載し、健康状態などもしっかりと確認していきます。

日々の活動の様子
それでは、実際の様子を紹介していきます。今回は午後の世話の様子のみになります。
給餌場所1
猫の餌を用意し、給餌場所で隠れながら待ち構えている猫に餌を与えていきます。餌は特定ブランドのキャットフードを与えており、猫の体に配慮がなされています。この給餌場所では3匹の猫に餌を与えていきます。
近くに、サークルメンバー以外にも、その他の人たちが20名ぐらいおり、警戒しつつもしっかりとキャットフードを食べていました。でも、やはり急に人間が来たりするとビックリしてしまい、一目散にどこかに逃げていってしまいました。

猫によってはキャットフードを食べている間に人間がかなりの近さにいても問題ないものもいました。サークルメンバーは個々の猫の個性を熟知しており、接し方や距離感などをしっかりと把握されていました。

猫がキャットフードを食している間に猫の様子を活動ノートに記載していき、体調管理などの情報を他のメンバーと共有していきます。
給餌場所2
2つ目の給餌場所では2匹の仲の良い猫がおり、餌が与えられます。こちらも特定のキャットフードが与えられていきます。私が訪問した際には、ほとんど餌が食べ終わった時であり、少し毛づくろいをしたりしていました。
トイレ掃除
7ヶ所あるトイレを巡り、トイレ掃除を行っていきます。トイレはサラサラの砂で満たされており、猫が掘りやすいようにするとともに、その場所で猫がトイレを行うように促しています。

後片付け
最後に餌やりに使用したお皿を洗います。大学に使用が許可されている水道を利用して、綺麗にお皿を洗浄し、ペーパータオルで拭いていきます。そして、世話に使用した用具をすべて、サークルが管理しているロッカーに収納して終了です。
猫の減少
サークルにより管理されている猫に関してはすべて避妊・去勢手術が完了しています。その甲斐あってか、発足当初は20匹程度いた猫もここ6年あまりで6匹に減少しました。サークルでは猫が減少した理由については断定することが難しく、すべてを把握しているわけではありません。
頻度は少ないものの、新しい猫が顔を出すことがあります。しかし、大学側は新たな猫を世話することは認めていないため、新入りの猫のために譲渡先を探すことも行っています。この場合、譲渡先が見つかるまでは世話を行い、譲渡が決定すると捕獲し、譲渡するという流れになっています。昨年度は数件そのようなことがありました。幸い迷い込んでくる猫が子猫であることが多く、特に猫の福祉が低下するような問題はありません。
TNRとともに、新入りの猫の参入を防ぐことで猫の数を減少させることに成功していると言えます。ただし、これは新入りの猫たちが子猫であり、その頻度がかなり少ないことが幸いしているとも言えます。人間に慣れていない成猫が迷い込んでしまった場合には、猫の福祉の観点から考えると譲渡を簡単に行うのはかなりの妥協が必要となります。
サークルの認知度
同サークルの認知度は高く、学内で世話をしている猫に関する譲渡希望の話などもあります。これはサークルが種々な活動を通じて認知度を高めていることや、給餌場所に設けられた看板などが寄与していると思われます。給餌場所の看板には、野良猫に餌が与えられているということが明記されており、誰が猫を管理しているのかが一目でわかるようになっています。こうすることで、その他の人たちが餌やりを行うことを防止し、猫の体調・健康管理を行いやすくなります。

まとめ
「立命館大学猫の会 RitsCat」では学内にいる野良猫の世話を毎日欠かさず行い、猫の福祉や衛生環境の維持・向上に取り組んでいます。サークルが積極的に活動を行い、避妊・去勢手術と譲渡を併用することにより、学内の猫の数は減少してきています。
サークルでは日々の活動以外にも、定期的な勉強会やイベントへの参加なども行っており、猫の世話に必要な知識や資金などを蓄えたり、活動内容の発信を行っています。もし、同サークルの活動に共感される方は入会や寄付などを検討されてみてはいかがでしょうか?立命館大学の学生でない方が、サークルに入会した際には、副会員という扱いになり、会費は徴収されず、サークル活動に自由に参加することができます。
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