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【レビュー】猫は絶滅危惧種を増やす? Cat Wars:The Devastating Consequences of a Cuddly Killer

2017年10月14日

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猫が好きな人は多いはずです。猫ブームも相まって、今では様々なメディアが猫の可愛さや猫の飼い方などを取り扱っています。

しかし、そんな猫には可愛いだけでなく問題も沢山あります。その一つが環境に与える影響です。日本を含め多くの地域では猫は外来種にあたるため、多くの動物に影響を及ぼしている可能性があるのです。そのような影響や猫の頭数増加に関する問題について取り扱ったのが、この「Cat Wars:The Devastating Consequences of a Cuddly Killer」という本になります。この本の評価はアメリカでは賛否両論あり、その評価が真っ二つに分かれるという事態になっています。

この記事では、特にこの本の内容の批評ではなく、純粋に本の構成や内容を紹介していきます。

 

 

目次

  • 1 執筆者
  • 2 本の概要
  • 3 英語
  • 4 本の内容
  • 5 まとめ

執筆者

この本は2人の著者により執筆されています。そのうちの一人がPeter P. Marraであり、アメリカのダートマス大学にて博士号を取得し、現在はスミソニアン渡り鳥センターSmithsonian Migratory Bird Centerのトップを務めています。彼と彼の教え子による研究は有名な科学誌「Nature」や「Science」などにも載ったことがあるようです。

もう一人の執筆者のChris Santellaはフリーランスの作家をしており、「死ぬまでに行きたい50の…」シリーズの執筆などを行っています。また、度々New York TimesやForbesなどに記事を載せているようです。

本の概要

「Cat Wars:The Devastating Consequences of a Cuddly Killer」はPrinceton University Press プリンストン大学出版社から2016年に出版されたものになります。この本は参考文献などの部分を除けは全178ページ、9章で構成されています。各章によりページ数はまちまちですが、短い章で10ページ、長い章で約25ページになります。

この本の内容は「猫は他の動物(特に鳥)を絶滅に追いやったり、病気などを拡散するため、環境保護の観点から外にいる猫は排除すべきだ。」という執筆者の考えが9章に渡って書かれています。そして、すべての章において科学的な根拠に基づいて、考えが述べられるとともに、物語が時折差し込まれており、意外と読みやすくなっています。

英語

日本人としては気になる英語ですが、TOEFLで使用されるような単語がたくさん出てきます。「underwrite」「forestall」「archipelago」「municipal」などこれらの単語の意味がすぐにわかる人であれば間違いなくスラスラ読めることでしょう。

そうでない人は電子書籍版などを購入することで読書が捗ると思います。筆者の場合は長い章で1時間程度で読むことができました。短い章もあるので、筆者の場合は約8〜9時間程度で読むことができました。

 

本の内容

外にいる猫が対象

最初に理解しておかなければいけないことは、この本で問題になっているのは、外で暮らしていたり、外に自由に行くことができる猫です。そのため、野良猫やノネコだけでなく、半室内飼いの猫も議論の対象になるわけです。

 

スティーブンイワサザイ

まず、この本はニュージーランドのStephens Island スティーブン島(スチーブン島、ステファン島)の話から始まります。ニュージーランドは主に北島と南島に分かれており、その南島の北側の小さな島 がスティーブン島です。かつて、その島には飛べない鳥のStephens Island Wren スティーブンイワサザイ(スチーブンイワサザイ)が生息していました。しかし、1890年代に島に持ち込まれた猫によりスティーブンイワサザイは絶滅します。ここでは猫によりすでに絶滅させられた鳥が存在しており、猫は危険であるということが述べられています。

また、ハワイガラスやソコロナゲキバトの話についても述べられています。

スティーブンイワサザイ

猫が鳥を捕食する量

アメリカでは、1年間に猫の犠牲となる鳥の数について算出しています。一見複雑そうに見える数式も、解説を読んでいくと小学生でもわかるような数式であることが分かってきます。猫の犠牲となる鳥の量が多いということを訴えてもいるようですが、捕食された鳥が、鳥の全体数にどれ程影響を与えているのかについては示されていません。その点については色々な要素が絡むため、分からないと執筆者らも明確に述べています。

 

猫によるズーノーシスの危険性

猫は狂犬病やトキソプラズマ症の原因となることが多く、危険であるということも記載されています。特に、トキソプラズマ症についてはその危険性が高いため、それをばらまく猫は駆除すべきであるということが訴えられています。トキソプラズマ症がどのように感染し、動物の行動に影響を与えるのかについて最新の研究を交えて解説しています。ここはかなり勉強になります。

ニュージーランドとオーストラリア

ニュージーランドやオーストラリアではノネコは害獣扱いされており、それらのノネコを駆除する方向へと動いています。オーストラリアでは2020年までにノネコを200万匹殺処分することが明言されており、ニュージーランドでも2050年までに外来生物(ノネコを含む)を駆除する方針が明確化されています。

このような処分を行う時の、効率的は処分方法(つまり安楽死の方法)についても、この本では記載がなされています。また、それに伴う倫理的な問題についても触れています。

 

TNRは効果がない?

安楽死をさせるのではなくTNR(Trap-Neuter-Return:捕獲して、去勢・不妊手術を施し、元の場所に戻す)を行う方が人道的に猫の数を減少させることができるのではないかという意見に対しては、TNRがあまり効果がないということを説明しています。具体的には、猫の数を減少させるには非現実的な数のTNRが必要になるということを科学的データをもとに解説しています。

建設的な解決策

執筆者らは8章にて外にいる猫を安楽死させずに、その数を減少させる方法についても模索し、提案しています。ある動物種を守るために、その他の動物種を駆除することは倫理的に問題があるということもその他の章で少し述べていますが、絶滅する動物を守るためには仕方がないというのが執筆者らの考えです。

 

鳥の素晴らしさ

この本ではバードウォッチングの歴史やそれに貢献した人、鳥の素晴らしさについても描かれています。また、最近の子供は自然と触れ合う機会が少なくなっており、自然と触れ合うことが重要であるということも少ないながら科学的データに基づいて説明しています。そういった話より、鳥やその他の動物を猫から保護し、子供たちに多様な自然の素晴らしさを伝えたいというのが執筆者らの本音のようです。

まとめ

鳥派

この本は外にいる猫を駆除しなけらばならないということを淡々と述べている本です。最初の方の章で、かなり過激な発言がある一方、建設的な解決策も一応は考えてはいるようです。執筆者の鳥への愛情がかなり伝わってきましたが、それゆえにかなりバイアスが生じています。言うなれば「鳥派」の意見をひたすら聞かされているような感じです。

 

因果関係

また、いまひとつストーリー構成が上手くいっておらず、各章の結論が暴力的であるところがあります。最も釈然としなかったのは、アメリカにおいて、猫の捕食行動により犠牲となるおおよその鳥の数はわかったのですが、それが意味することが明確でないことです。つまり、鳥の数の減少と猫の捕食行動との因果関係がはっきりと証明されていないということです。これでは、何のために猫を駆除するのかわかりません。

 

猫の危険性

しかし、外にいる猫たちが鳥やその他の哺乳類を狩り、年間でかなりの数の動物が犠牲になっているということを知る良い機会になると思います。日本でもノネコや野良猫が動物に与える影響について詳しく調べられることを望みます。また、トキソプラズマ症の危険性についても学ぶことができ勉強になります。

 

人間は身勝手

この本を読んで最終的に感じたのは、オーストラリアにしろ、ニュージーランドにしろ、アメリカにしろ、猫を人間の”お伴”として連れてきたのは人間であるにも関わらず、その猫が増えすぎて問題が出てくると猫を駆除するというのはあまりにも身勝手なような気がします。つまり、動物を絶滅させている直接的な原因は人間であるのに、その責任を異なる動物種(この場合は猫)になすりつけるということをしているような気がしました。

Cat Wars: The Devastating Consequences of a Cuddly Killer

飼い猫を捨ててしまうという行為は猫の福祉と環境への配慮を考えても好ましくないということがこの本を読んではっきりとしました。TNRの道を選択するにせよ、安楽死の道を選択するにせよ、まずはこれ以上野生動物に影響を与える猫の数が増加しないように終生飼養や完全室内飼いを徹底するべきでしょう。また、TNRか安楽死かという選択をしなければならないような状態になる前に早めの段階でTNRなどを行うことが重要だと思います。

 

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参考文献

National Geographic

The Huffing Post

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コメント

  1. 高原 ちか さんのコメント

    2019年2月12日 at 3:51 PM

    ありがとうございます。
    以前からこの本を買うべきか悩んでいました。
    何故なら、海外での評価が本当に肯定派と否定派に分かれていたからです。
    しかし、どちらにせよ、自身で読んでみないことにはわからないと思い買うことに決めました。

    返信
    • SAMY さんのコメント

      2019年2月13日 at 11:08 AM

      高原さま
      コメントありがとうございます。
      おっしゃる通り、一読される方が良いと思います。私は猫が好きなため、どうしても猫に贔屓した考え方になってしまうのですが、この本を通してそうでない人たち(鳥派?)の意見を聞けてとても勉強・参考になりました。
      肯定派と否定派の人たちが、議論し、分かり合うための、材料になる「本(きっかけ)」としてはとても良い本だと思いました。

      返信

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