2017年6月28日、カナダの大都市バンクーバーのペットショップにおいて、猫や犬、ウサギなどの販売を禁止する条例が可決されました。これにより、バンクーバーのペットショップにおける猫の販売は禁止されることになりました。
条例が可決された理由
この条例の可決は、バンクーバー市議会の次のような考えに基づいています1)~3)。
- ペットショップにいる子猫の多くは、育った環境が不明であり、その多くは劣悪な状況で育ったことが考えられる
- 特にキトンミルなどの子猫を大量に出産させ、ペットショップに子猫の供給を行うような施設では劣悪な環境で育てられるため、結果として病気や問題行動などにつながる可能性が高くなる
- シェルター(保護猫施設)などでは多数の猫が譲渡を待ち、殺処分などが行なわれている状況である
端的にまとめると、劣悪なブリーダーを排除し、譲渡活動の促進などを行うために、今回の条例が可決されたということです。
譲渡活動の斡旋
条例の可決を受けて、今後バンクーバーのペットショップでは猫の販売が行えなくなります。とはいえ、現在のところバンクーバーで生体販売を行っているペットショップは一つしかないそうです1)。
生体販売が禁止されたペットショップでは、生体販売を行う代わりにシェルター(保護猫施設)の猫などの譲渡活動に協力することが望まれています。つまり、シェルターの猫を展示し、譲渡活動を斡旋するということになります。しかし、あくまでもその選択はそのペットショップのオーナーに託されているため、本当にそうなるかは不明です。

ブリーダーへの影響
飼い主と直接的にやり取りを行うようなブリーダーは今までどおり、子猫の販売を行うことができます。この条例の影響を最も受けるのは、ペットショップに大量の子猫などを売る悪質なブリーダーであり、評判の高いブリーダーには影響がないと考えられています1),2)。確かに、良心的かつ質の高いブリーダーは、自身の子猫をしっかりと育て、ペットショップに売るようなことはしませんので、特に影響はないように思えます。
規制の広がり
バンクーバーはカナダのブリティッシュ・コロンビア州(B.C.)の都市であり、 B.C.にはその他にも様々な都市が存在しています。そのうち、リッチモンドとニューウエストミンスターと呼ばれる都市ではペットショップにおけるペットの販売がすでに規制されています3)。
リッチモンドでは2009年にウサギ、2010年に犬のペットショップでの販売が禁止されています3)。残念ながら猫の規制はされていないようです。ニューウエストミンスターでは、2012年に猫・犬・ウサギのペットショップでの販売が禁止されています4)。こちらは猫も含まれています。
このように、カナダのブリティッシュ・コロンビア州では徐々にペットショップにおけるペットの販売を規制する流れが広がってきています。
まとめ
最近では、アメリカのサンフランシスコなどでもペットショップにおける猫の生体販売が禁止されており、北米を中心にこの流れが広がっているようです。素晴らしい話ではないでしょうか?
ただ、こういったニュースを読んでいると、日本がいかに世界から取り残されているかを実感してしまいます。猫の福祉を向上するために自分に何ができるのでしょうか?色々と考えさせられてしまいます。
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サンフランシスコがペットショップにおいて生体販売を禁止する法律を制定
参照サイト
1) Vancouver bans sale of cats, dogs, rabbits at pet stores
2) Vancouver councillor seeks ban on pet store sales of dogs, cats and rabbits
3) Banning Pet Sales from Retail Outlets 条例原文
4) New Westminster to ban sale of cats and dogs
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