ノミ・マダニは猫の外部寄生虫の代表格であり、その予防は必須になります。イタリアのエオリア諸島で行われた最新研究はノミ・マダニ感染を予防できる首輪の効果について調べています。
ノミ・マダニ予防できる首輪
今回の研究に使用された猫の首輪は10%のイミダクロプリド、4.5%のフルメトリンが配合されており、すでにSeresto®という商品名でBayer Animal Healthより販売されています。
研究では首輪を104匹の猫に着用し、1年間にわたってその効果を観察していきました。コントロールとして100匹の猫にも参加してもらい、彼らには首輪の着用せずに1年間追跡しました。さらに、コントロール群ではノミ・マダニを予防・駆虫するような商品の使用を控えてもらいました(感染が重度の場合にはすぐに駆虫薬が使用されます)。
実験開始日、210日後、270日後、360日後ごとに獣医師の診断が行われ、ノミ・マダニ感染の評価が行われました。
首輪の効果
その結果、ノミに関しては首輪適用群において、実験開始日では45.2%の猫に観察された感染が、210日後には8.3%、270日後には0%、360日後には3.8%の猫にしか観察されなくなりました。治療群では、実験開始日において49.0%の猫に感染が観察され、その後41.0%(210日後)、53.0%(270日後)、57.5%(360日後)と推移していきました。
マダニ関しては、開始日において6.7%の猫に観察された感染が、首輪適用後には1匹たりとも観察されなくなりました。このような効果はコントロール群には一切観察されませんでした。
このことより、今回使用した首輪はノミやマダニ感染の予防効果があるということが示されました。今回の研究では、猫に感染していたノミやマダニの種類についても調べられており、ノミではネコノミ、ヨーロッパネズミノミ、ヨーロッパウサギノミの3種、マダニではRhipicephalus pusillus、Ixodes ventalloiの2種が主に感染することがわかりました(エオリア諸島において)。
まとめ
海外では屋外で飼養される猫がいるため、今回の研究で使用された首輪式のノミ・マダニ予防は効果的なのかもしれません。以前には、同様の首輪を用いて猫のリーシュマニア症を予防できるのかについても検討がなされていたため、幅広い感染症予防に期待できるのかもしれません。日本ではスポットオン式のノミ・マダニ、フィラリア予防薬の使用が多いため、首輪式についてはあまり需要がないような気がします(日本では未発売です)。ただ、効果が8ヶ月続くという部分は少し魅力的なのかもしれません。
今回紹介した研究はオープンアクセスであり、誰でも無料で閲覧することができます。
原著論文:Otranto D, Dantas-Torres F, Napoli E, Solari Basano F, Deuster K, Pollmeier M, Capelli G, Brianti E. Season-long control of flea and tick infestations in a population of cats in the Aeolian archipelago using a collar containing 10% imidacloprid and 4.5% flumethrin. Vet Parasitol(2017). 248:80-83. doi: 10.1016/j.vetpar.2017.10.023.
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