ホメオパシーはその使用や効果について様々な議論があります。そんなホメオパシーについて、英国王立獣医師会RCVSは獣医療におけるホメオパシーはあくまでも補完的医療であることを明記した声明を発表しました。
ホメオパシー
猫を飼っていると、ホメオパシーという言葉を一度は聞いたことがあると思います。もしかしすると実際に予防や治療のために使用したことがある人もいるかもしれません。英国ホメオパシー協会では猫に対するホメオパシーとして、様々なレメディーを使用することを推奨しています(BritishHomeopathicAssociation)。例えば、攻撃性のある猫に対してはベラドンナ、スプレー行動にはスタッフグリアやヒヨスを使用するとしています。もちろん、問題行動だけでなく、腎不全や膀胱炎、呼吸器系疾患、歯肉炎などの様々な病気に対するレメディーも存在します。
英国王立獣医師会の考え
ホメオパシーの使用については議論が多く、補完・代替医療や一般的な治療として用いるかどうかについては様々な意見がありました。しかし、2017年11月2日に英国王立獣医師会が発表した声明によると、ホメオパシーはあくまでも補完医療であるということが明示されました(RCVS)。
その大きな理由としてはホメオパシーは科学的根拠が乏しく、そして健全な科学的原則に則っていないということです。そして、獣医療や予防医療の対象となる動物たちの福祉を考えると、ホメオパシーをその他の科学的根拠に基づいた治療の代替や予防医療として使用することはできないとしています。
つまり、ホメオパシーを一般的な治療や代替医療、予防医療として使用することは避け、使用する場合には補完医療として使用すべきであるということです。
日本獣医学会と日本獣医師会の考え
日本においては2010年8月に日本学術会議会長である金澤一郎先生(大先生)がホメオパシーの非科学性とその排除の必要性について述べた談話を発表し、その内容について医師会や医学会のみならず(日本医学会)、獣医師会や獣医学会が賛意を示しています(獣医療における「ホメオパシー」対応の考え方)。その談話の中には医療・歯科医療・獣医療現場からホメオパシーを排除する努力を行うべきであるという文言や、「効果がある」と称して治療に使用することは厳に慎むべき行為であるという文言が含まれています。
まとめ
ホメオパシーについては日本よりも欧米の方が広がりを見せているためか、日本よりも英国の方が声明の内容がゆるくなっています。それでも、やはりホメオパシーについては科学的根拠がなく、健全な科学的原則に則っていないという姿勢は共通しています。猫に対するホメオパシーの使用を考えている際には、一度立ち止まって使用すべきかどうかを考えてみてください。獣医師によってはホメオパシーの使用を推奨する人もいるため、複数の獣医師の見解を聞くことも重要だと思います。そして何よりも日本獣医師会や獣医学会はホメオパシーの使用について強く反対しているということを忘れないでください。
2017年はこの他にもAAFPが爪切除術に強く反対する意向を示しています。詳しくは「AAFPが爪切除術に反対する声明を発表」の記事を参照ください。
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