• ホーム
  • 本サイトについて
  • お問い合わせ
    • 里親募集に関するお問い合わせ

MAL

ねこ情報サイト

  • ねこニュース
  • トレンド
  • 保護猫
  • 習性と飼い方
  • 健康
  • レビュー
  • ねこ生活
    • はじめての猫
    • しつけ
  • ねこ図鑑
    • かな順
現在の場所:ホーム / ニュース / 【ニュース】胃腸疾患の猫にビタミンB12を6週間投与した時の長期的効果の検討

【ニュース】胃腸疾患の猫にビタミンB12を6週間投与した時の長期的効果の検討

2017年9月19日

スポンサーリンク

慢性的な胃腸疾患の猫では腸からのビタミン12(シアノコバラミン)の吸収が低下するため、低コバラミン血症(ビタミンB12欠乏症)が起こることがあります。ビタミン12は水溶性のビタミンであり、葉酸とともに核酸の合成に関わる重要なビタミンであり不足すると、身体に幅広い影響をもたらします。猫においては、無気力や嘔吐、貧血、体重減少、食欲低下、下痢などの症状をきたすことが多いです。

 

そんな低コバラミン血症の治療の一つとして単純にビタミンB12を非経口投与することで血液中のビタミン12を増加させる方法があります。しかし、ビタミン12を投与を中止した後にも効果が観察されるかなど、その長期的な効果についてはあまり知られていません。そのため、最新研究では慢性的な胃腸疾患を持つ猫に対してビタミン12を6週間投与し、投与中止後10週にわたってその効果について検証しています。

 

目次

  • 1 ビタミンB12の筋注は血清シアノコバラミン値を高める
  • 2 ビタミンB12の筋注は血清メチルマロン酸値を減少させる
  • 3 ビタミンB12の筋注は症状を改善する
  • 4 まとめ

ビタミンB12の筋注は血清シアノコバラミン値を高める

この研究では20匹の慢性的な胃腸疾患にかかり、血液中のシアノコバラミン(ビタミンB12)の値が225〜1,451 pmol/Lの値よりも低下している猫が対象となっています。猫の中には甲状腺機能亢進症や慢性腎不全などの疾患にかかっているものもいます。対象の猫にビタミンB12の筋肉注射(250μg/回)を1週間に1度行い、それを6週間続けます。そして、投与開始前から投与中止後10週間にわたってその効果について観察していきました。

 

ビタミンB12を毎週6週間にかけて投与した結果、投与6週間後における血液中のシアノコバラミン(ビタミンB12)の値は投与前と比較して有意に増加しました。しかし、投与中止後は徐々にその値は低下し、10週後には投与6週後の値と比較して有意に減少するという結果になりました。

 

ビタミンB12の筋注は血清メチルマロン酸値を減少させる

また、投与開始6週間後では血液中に含まれるメチルマロン酸の値が減少することがわかりました。このメチルマロン酸は細胞が代謝を行う上で絶対的に必要となるスクシニルCoAと呼ばれる有機化合物の生成に関与しています。そして、メチルマロン酸からスクシニルCoAを生成するためには、シアノコバラミン(ビタミンB12)が必要になります。

 

しかし、シアノコバラミンが欠乏している際にはその反応が起こりにくくなるため、メチルマロン酸がどんどん溜まっていくため、血液中のメチルマロン酸の濃度が高くなります。言い換えると、メチルマロン酸の値が高いということは、シアノコバラミン(ビタミンB12)が欠乏しているということを示すということになります。

 

投与開始6週間後においてはメチルマロン酸の値が減少しましたが、投与中止後についてはメチルマロン酸の値は徐々に増加し、投与開始前と比較して有意な差は特に観察されませんでした。

 

ビタミンB12の筋注は症状を改善する

食欲や体重減少、嘔吐、下痢などの症状の変化を投与前後で観察した結果、徐々に症状が改善し、4週間〜6週間で最も症状が改善されることがわかりました。しかし、投与中止後には徐々に症状が悪化するという結果になりました。

 

まとめ

ビタミンB12(シアノコバラミン)を胃腸疾患の猫に6週間(1週間に1回)筋肉注射することにより、血液中のシアノコバラミン値が増加し、血液中のメチルマロン酸値が低下することがわかりました。また、低コバラミン血症などで観察される症状も改善されることもわかり、ビタミンB12(シアノコバラミン)のサプリメントが効果的であることが示されました。しかし、注射を中止すると徐々に効果は薄れ、投与中止10週間後には効果がかなり薄れるという結果になりました。当たり前ですが、ビタミンB12の注射が低コバラミン血症の根本的な解決には寄与しないということなのでしょう。

 

研究者らはビタミンB12(シアノコバラミン)の週1回の投与を6週間行った後は、投与する間隔を減らし、1ヶ月に1度の頻度などで行うことでその恩恵を得ることができるかもしれないとも考えているようです。もちろん、あくまでも彼らの考察ですので、実際にその方法が効果があるのかについては今後検討される必要があります。

 

今回紹介した研究論文はオープンアクセスであり、誰でも閲覧することができます(クリエイティブ・コモンズライセンス)。ぜひ一読ください。

 

胃腸障害を緩和する方法として、新たにシンバイオティクスを用いた方法が検討されています。その最新研究は「シンバイオティクスは抗生物質による猫の胃腸障害を緩和できるのか」の記事を参照ください。

 

原著論文

Kempf J, Hersberger M, Melliger RH, Reusch CE, Kook PH.Effects of 6 Weeks of Parenteral Cobalamin Supplementation on Clinical and Biochemical Variables in Cats with Gastrointestinal Disease. J Vet Intern Med(2017). doi: 10.1111/jvim.14830.

スポンサーリンク

おすすめの記事

  • 【ニュース】猫・ベラプロストナトリウムによる治療効果の検討【ニュース】猫・ベラプロストナトリウムによる治療効果の検討
  • 【論文】猫慢性腎不全による貧血には炎症と鉄分代謝の変化が関連する【論文】猫慢性腎不全による貧血には炎症と鉄分代謝の変化が関連する
  • 【研究】猫の体重から予測する心臓の大きさ【研究】猫の体重から予測する心臓の大きさ
  • 造影超音波検査により猫の慢性腎不全の早期診断が可能になる?造影超音波検査により猫の慢性腎不全の早期診断が可能になる?

コメント

コメントを残す コメントをキャンセル

  • 本サイトについて
  • 利用規約
  • プライバシーポリシー
  • ねこニュース
  • トレンド
  • 保護猫
  • 習性と飼い方
  • 健康
  • レビュー
  • ねこ生活
    • はじめての猫
    • しつけ
  • ねこ図鑑
    • かな順

ソーシャルメディア

  • Facebook
  • Instagram
  • Pinterest
  • RSS
  • Twitter

サイト内検索

Copyright © 2021 · MAL. All Rights Reserved.