猫を家族に迎え入れる手段としては、様々な方法がありますが、近年増加しているのがインターネット広告などを介したネット上での猫の売買になります。先日、EUにて発表されたレポートは、ネットを介した猫の販売が猫の福祉を低下させていることを指摘し、新たな規制の必要性を訴えています。
毎日約10万頭もの猫が宣伝・販売されている
イギリスの動物チャリティ団体であるThe Blue CrossとEUにおける犬や猫の福祉向上を目指すEU Dog & Cat Alliance®は、EUの動物福祉団体にアンケートをとり、その結果を解析していきました。
その結果、アンケートに参加した人のうち約60%の人たちは、ペットの入手先として、インターネット広告やSNSを介した方法が主であると認識していることがわかりました。ちなみに、次に多かったのはペットショップで約20%でした。
そして、さらに毎日10万4,318匹もの猫がネット上で宣伝・販売されていることもわかりました。ちなみに犬はさらに多く、40万579匹が毎日ネット上で宣伝・販売されていることがわかりました。
猫の福祉に関する問題
インターネット広告やSNSを介した方法でも猫の福祉が維持されているのであれば、まだ問題ないのかもしれません。しかし、この調査によると、対象となった人の95%もの人がインターネット広告によるペットの販売には問題が多いと認識していることがわかりました。そして、その理由として多かったのが、「離乳しておらず、幼すぎる」「健康でない」「福祉に関する情報を提供していない」「必要最低限の情報がない(出生日など)」「衝動買いを誘発するようなシステム(ローンや値引きなど)」などでした。
規制の必要性
上記の結果より、両団体は新たな自主規制の導入について提案しており、規制には次のような項目が含まれている必要があるとしています。
- EUにおけるペットのオンライン広告に関する一連のガイドラインの作成
- 関係者内での最良の事例と最悪の事例の共有
- NGOなどと協力し、スタンダードが遵守されているのかのモニタリング
- EUと国内当局の間で、動物の違法取引に関する情報の交換
まとめ
EUでは、かなり多くの猫がインターネット広告やSNSを介して販売されており、その多くは猫の福祉に関する問題を抱えている可能性が見えてきました。マルタ共和国などではペットのネット広告を出すにはペットショップとしての届け出が必要であるという規制があるものの、多くの地域では法整備は行われていません。EU全体として法整備がなされていくのは難しく、自主規制を行う団体などに頼るしか方法がないのかもしれませんが、各国で議論を深めてもらいたいと願うばかりです。
日本でもネット広告にブリーダーやペットショップに関する広告が出ていたりしますが、そのブリーダーがどの程度の知識を持ち、どの程度の猫の福祉を考えているのかは不明です。また、ペットショップなどではローンや値引きなどを宣伝することで、衝動買いを促進し、購入する際には猫の福祉に関する情報を提供していません(5つの自由について説明されたことはありますか?)。そのような背景を見ると、日本のペットショップは今回の調査で問題となっているネット広告経由の売買と何ら変わりはないような気がしてなりません。
カリフォルニア州ではペットショップにおける犬・猫の販売が禁止される一歩手前まできています。その詳細については「ペットショップにおける猫・犬・ウサギの販売が禁止に?!米・カリフォルニア」の記事を参照ください。
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