最新研究は長時間の留守後の、猫と飼い主の行動について観察し、猫と飼い主がどのように反応するのかについて調べました。その結果、長時間の留守により猫と飼い主の行動が変化することがわかりました。
30分と4時間の留守番
研究には14匹の猫(6月齢〜15歳)が参加し、そのうち2匹の猫は餌へのアクセスが制限されている環境(飼い主が定期的に餌を与える環境)で飼養されています。それぞれの猫と飼い主は2日間研究に参加し、飼い主が30分もしくは4時間留守にした時の留守前後や留守中の行動の変化を録画していきました。すべての猫は両方の留守番を経験することになります。
長期間の留守は猫と飼い主の交流の仕方に影響を与える
留守をする前の5分間や留守開始直後、飼い主帰宅直前については、短期の留守番と長期の留守番で特に行動の変化は観察されませんでした。一方、留守中では長期間の留守の猫の方がより横になっている時間が多くなるということがわかりました。
飼い主帰宅直後の5分間においては、長期間の留守の猫の方が喉をゴロゴロ鳴らしたり、伸びをする行動を頻繁に行うことがわかりました。これらの行動は餌へのアクセスが制限されている2匹の猫と帰宅直後に餌を与えられた経験を持つ猫1匹を除去した条件でも観察されました。そのため、少なくとも餌目当てで、猫がこのような行動とっている可能性は低いことが考えられます。
猫だけではなく、飼い主の行動にも変化があり、長期間の留守後では飼い主の呼びかけの頻度が高くなることがわかりました。猫の飼い主は情緒安定性などの性格を持っていることが知られており、研究者らは神経質な飼い主などが愛猫と長期間離れることに対して不安を感じ、それに対する対処法のひとつとして声をかけているのではないかと考察しています。しかし、研究では飼い主の性格検査などを行っておらず、あくまでも推測でしかありません。
まとめ
猫は長時間の留守番をした後では、喉をゴロゴロ鳴らしたり、体をストレッチしたりする頻度が多くなることがわかりました。研究者らは喉をゴロゴロ鳴らす行動については、飼い主の注意をひくために行っていると考えています。体の伸びをする理由については不明ですが、単純に長期間横になって休んでいたために行う頻度が多くなったのかもしれません。
この研究により、長時間の留守後では猫と飼い主の交流が活発になることがわかりました。猫が留守中に不安や寂しさなどを感じているのかどうかは全くもって分かりませんが、少なくとも長時間の留守後に行動が変化することはわかりました。普段、家を8時間以上あける人にとっては、さらに長時間の留守番により猫の行動がどのように変化するのか興味のあるところだと思います。また、飼い主ではない人が家に帰ってきた時にも同じような行動の変化が観察されるのかについても興味があるところです。
今回紹介した研究はオープンアクセスであり、誰でも閲覧することができます。
原著論文:Eriksson M, Keeling LJ, Rehn T (2017) Cats and owners interact more with each other after a longer duration of separation. PLoS ONE 12 (10): e0185599.
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