猫の姿、猫のにおい、猫の音などに対する犬の反応を調べた研究が2017年1月のApplied Animal Behavior Science誌にて掲載されました。この研究より、猫にフレンドリーな犬を見つける方法が見えてくるかもしれません。
犬と猫の関係性
猫と仲良くできる犬もいますが、猫を捕食しようとする犬もいることも事実です。現代における、猫の天敵の代表例といえばコヨーテ、キツネ、フクロウ、ワシ、そして犬です(場合によっては人間も含まれるかもしれません)。
もしかすると多くの人が犬と猫は仲が悪いと思っているかもしれませんが、それは犬や猫の社会化期における経験やその時期以降の経験によって大きく影響を受けます。猫や犬が生まれてからずっと飼っている場合には、飼い主が飼い猫や飼い犬の経験を知っているため、「うちの子は猫・犬が苦手」などがわかるため特に問題がありません。しかし、里親などで犬をもらう際には、その犬の経験(言い換えるならばその犬の歴史)が全くわかりません。
では、どの犬が仲良くできるのかを見極めれば良いのでしょうか? それが簡易的にわかるとシェルターや保護施設としては大変ありがたいことです。なぜなら、里親に出す犬が猫と仲良くできるのかを素早く簡単に判断することができるからです。
犬は猫の音に反応する
今回報告された研究では、「猫の形をした動く人形」と「猫とは異なる形をした動く人形」を使用しています。その人形に様々な仕掛けを施して、それに対する犬の反応時間を計測しています。例えば、嗅覚刺激を犬に与えた場合や、人形から猫の鳴き声を鳴らし、聴覚刺激を与えた場合の反応などを見ています。また、「猫の人形」と「枕」に猫の尿の臭いつけた時とつけていない時の反応も見ました。
犬の反応を見ていくと、なんと犬が最も反応を示したのは人形から猫の鳴き声が聞こえた時でした。つまり、犬は猫の姿(視覚刺激)などよりも猫の鳴き声(聴覚刺激)に最も反応しやすいということがわかったのです。
犬は猫の臭いよりも猫の姿に反応する
また、猫の形をした人形と枕に猫の尿の臭いをつけた時と、つけない時の反応を見たところ、猫の尿の臭いの有無にかかわらず、猫の形をした人形において嗅ぐ時間が長いこともわかりました。そのため、猫の嗅覚刺激よりも猫の視覚刺激に対して反応する可能性が示唆されました。
猫を襲ったことがある犬は…
おもしろいことに、過去に猫やその他の小動物を襲ったことがある犬の反応を見ると、襲ったことのない犬と比較して、猫の鳴き声への反応が有意に長いことがわかりました。ちなみに、その他の嗅覚刺激や視覚刺激は関係なかったそうです。
ということは、猫の鳴き声に長い時間、よく反応する犬の場合には猫を襲う危険性が高いということが言えるのかもしれません。
まとめ
犬は猫の鳴き声によく反応するようです。そして、猫に対してフレンドリーではない犬は猫の鳴き声によく反応するようです。そのため、わざわざ犬を猫に対面させて犬の反応を見る代わりに、録音した猫の鳴き声などを犬に提示してその反応をみても良いのかもしれません。
しかし、この研究で対象となった「過去に猫を襲ったことのある犬」はたったの4匹だけです(小動物を襲ったことがある犬は14匹でした)。そのため、このような結果が猫を襲う傾向にある犬全てに当てはまるかどうかは今後検討が必要です。
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参考文献
Hoffman, C., Workman, M., Roberts, N., & Handley, S. (2017). Dogs’ responses to visual, auditory, and olfactory cat-related cues Applied Animal Behaviour Science DOI: 10.1016/j.applanim.2016.12.016
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