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【ニュース】猫の血液や肝臓に含まれる脂質代謝物質には性差がある

2017年8月22日

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【ニュース】猫の血液や肝臓に含まれる脂質代謝物質には性差がある?

脂質代謝の異常は様々な病気を引き起こすため、中性脂肪の値などを気にしている方も多いかもしれません。それは猫でも同じであり、脂質代謝の異常は糖尿病や肥満、肝リピドーシスなどを引き起こします。

 

最近では、技術の進歩により比較的簡単に血液中や組織中に含まれている脂質代謝物質を細かく分析(脂質プロファイル)することが可能になっており、そういった脂質代謝異常の背景にある原因を突き止めようとする動きも活発化しています。例えば、ヒトやげっ歯類では性別により脂質代謝物質が異なることが判明しており、性ホルモンの影響を受けると考えられています。このことは特定の脂質代謝異常をきたす病気に罹りやすいものとそうでないものがいることを示唆しています。

 

では、猫においても同様のことが観察されるのでしょうか?オランダのユトレヒト大学の研究チームは猫の脂質代謝物質のプロファイリングを行い、猫における脂質代謝物質の性差を明らかにしました。

 

目次

  • 1 メス猫の方が血清トリグリセリドの値が低い
  • 2 メス猫の方がアラキドン酸の値が高い
  • 3 肝リピドーシスの猫ではスフィンゴミエリンの値が高い
  • 4 まとめ

メス猫の方が血清トリグリセリドの値が低い

研究には未去勢のオス猫6匹と未避妊のメス猫6匹が対象になり、それらの猫が去勢・避妊手術を行う日に採血と肝臓の剖検(肝臓の組織のほんの一部を摂取し、検査すること)を行いました。また、術後4週後にも採血と肝臓の剖検を行い、術前と術後の変化についても観察しました。

 

その結果、避妊手術を行っていないメス猫において、未去勢のオス猫と比較して、血液中のトリグリセリド(トリアシルグリセロール)の値が低いということがわかりました(オス猫と比較して約1/2程度)。トリグリセリドは中性脂肪の一種として有名です。

 

メス猫の方がアラキドン酸の値が高い

さらに、ホスファチジルコリンと呼ばれる脂質の種類について詳しく解析をしたところ、長鎖多価不飽和脂肪酸のアラキドン酸を含むPC36:4とPC38:4の値が未避妊のメス猫において、未去勢のオス猫よりも高いということがわかりました。これは血清と肝臓両方で認められ、術後には性差は観察されなくなりました。一方で、DHAを含むPC38:6やPC40:6といったホスファチジルコリンについては性差が観察されず、従来の認識通り猫においてはその値が低いことがわかりました(有意差はないもののメス猫にて値が最も低いということがわかりました)。

 

肝臓ではエネルギーとなるグルコースは脂肪酸に変換され、そして最終的に中性脂肪として有名なトリグリセリド(トリアシルグリセロール)が生成されます。もし、このトリグリセリドが肝細胞に過剰に蓄積した場合には肝リピドーシスという病気になってしまいます。

 

長鎖多価不飽和脂肪酸にはオメガ6系とオメガ3系が存在しており、このうちメス猫に多かったアラキドン酸はオメガ6系に含まれ、猫において少ないDHAはオメガ3系に含まれます。長鎖多価不飽和脂肪酸は”fuel partitioning action”と呼ばれる作用により、グルコースの脂肪酸への変換や脂肪酸からのトリグリセリドの生成を抑制し、一方でグルコースからグリコーゲンを合成するのを促進します1)。しかし、この作用を発揮するのはオメガ3系であると考えられており、オメガ6系のアラキドン酸を多く持っていたとしてもあまり意味がないといえます。

 

上記の結果をふまえると、猫はでオメガ6系の長鎖多価不飽和脂肪酸が少ないために、他の動物種よりも肝リピドーシスにかかりやすくなっている可能性があります(統計学的な有意差はないものの、特に避妊手術をされていないメス猫の方がかかりやすいのかもしれません)。

 

肝リピドーシスの猫ではスフィンゴミエリンの値が高い

この研究では、肝リピドーシスに罹患した猫と健常の猫(去勢・避妊済み)との比較も行っています。その結果、肝リピドーシスの猫では肝臓のトリグリセリドの値が健常の猫よりも約10倍も高いということがわかりました。そして、肝リピドーシスの猫では血清と肝臓の両方でスフィンゴミエリンの量が高いということもわかりました。このスフィンゴミエリンは神経細胞の軸索部分のミエリン鞘を構成する脂質であり、脂肪肝の発達などに関連していると考えられているため、肝リピドーシスとスフィンゴミエリンの関連性については今後詳しく調べる必要があります。

 

まとめ

最新の研究により、猫の脂質代謝にも性差があることが示唆されましたが、その性差が意味することについては今のところは不明です。この性差が肝リピドーシスのかかりやすさなどに影響を与えるのかもしれませんが、いくつかの研究では肝リピドーシスには性差がないことが知られているため(1つだけメス猫の方がかかりやすいという論文があるようです2))、今後さらなる研究が必要だと思います。

 

なお、今回紹介した論文はオープンアクセスであるため、誰でも無料で読むことができます(クリエイティブ・コモンズライセンス)。詳細が気になる方は原著論文を読むことをお勧めします。

 

原著論文

Valtolina C, Vaandrager AB, Favier RP, Tuohetahuntila M, Kummeling A, Jeusette I, Rothuizen J, Robben JH. Sex specific differences in hepatic and plasma lipid profiles in healthy cats pre and post spaying and neutering: relationship with feline hepatic lipidosis. BMC Veterinary Research (2017) 13:231. DOI 10.1186/s12917-017-1152-y

 

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参考文献

1) Videla LA, Rodrigo R, Araya J, Poniachik J. Oxidative stress and depletion of hepatic long-chain polyunsaturated fatty acids may contribute to nonalcoholic fatty liver disease. Free Radic Biol Med(2004), 37(9):1499-507.

2) Center SA, Crawford MA, Guida L, Erb HN, King J. A retrospective study of 77 cats with severe hepatic lipidosis: 1975-1990. J Vet Intern Med. 1993;7(6):349–59.

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