前回のパウダー付きゴム手袋に引き続き、アメリカ食品医薬品局:通称FDAが人間の薬に含まれているフルオロウラシルがペットにとって危険であることを2017年1月18日に発表し、注意喚起を呼びかけています。
フルオロウラシルとは?
フルオロウラシルは様々な「がん」に処方される治療薬に含まれています。もちろん、そのようなフルオロウラシルが含まれている「がん治療薬」を使用されている方はその使用に気をつけなければなりませんが、ここで特に問題となっているのは皮膚がんなどの治療に使用される外用薬(塗り薬)になります。中でも有名なのはエフディクス/エフディックス(5-FU軟膏) 5%と呼ばれる製品で、日本でも手に入れることができます。
中には皮膚がんなどとは関係なく、ほくろやシミを消すために使用している人もいるようです。ただし、そのような使用は絶対にお勧めできません。必ず医師の指導のもと使用されるべきです。
フルオロウラシルを食べると?
これまでにFDAには5件の報告が入っており、いずれも「犬がフルオロウラシルが含まれている製品を口にした」というものです。例としてあげられていたのが次の2つです。
事例1
犬がフルオロウラシルが含まれている薬のチューブで遊んでいる際に、犬の牙によりチューブに穴が開き、犬がフルオロウラシルを摂取してしまいました。その結果、2時間後には吐き気と発作に見舞われ、12時間後に息を引き取ったそうです。
事例2
犬がフルオロウラシルが含まれている薬を口にしてしまい、飼い主が急いで動物病院に連れて行き治療がなされました。しかし、その後症状が悪化し、3日後に飼い主が安楽死を選択したそうです。
猫
今のところ猫がフルオロウラシルを摂取し、病気になったり、亡くなったという事例は報告されていないようです。
予防するには?
- フルオロウラシルが含まれている薬を使用している方はその薬を猫の手に届かないところに保管すること
- 外用薬(塗り薬)を使用する際には、塗布した部分などに猫が近づかないように注意すること
- 塗る際にテーブルなどに薬の一部が残っている場合などがあるため、入念に拭き取ること
- もし、猫が誤ってフルオロウラシルが含まれている薬を口にした時は急いで動物病院に連れて行き、その旨を伝えること
獣医師側も吐き気や発作などを呈しているペットを診察する際には、その家族の誰かがフルオロウラシルが含まれている薬を使用していないか飼い主に尋ねた方が良いかもしれません。
まとめ
今のところ猫に被害はありませんが、時間の問題かもしれません。今回はフルオロウラシルが含まれる外用薬(塗り薬)の注意喚起が主でしたが、その他の種類のがん治療薬にも使用されているため、がん治療を受けている方が家族にいる場合などは十分に気をつけましょう。
フルオロウラシルという薬に関わらず、人間が使用する薬は猫の手の届かない範囲に保管しておくことが重要です。また、外用薬(塗り薬)などを使用する際には、塗った場所に猫が近づかないように気をつけましょう。なぜなら、もし猫の被毛や手足に付着すると、猫がグルーミングする際にその薬が口から摂取されるからです。
猫の命に関わることですから、気をつけましょう。
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参考文献
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