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【研究】ポリプレニル免疫賦活剤による猫伝染性腹膜炎治療の検討

2017年3月9日

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今回紹介する研究は猫伝染性腹膜炎Feline infectious peritonitis :FIPに対する薬物の治療効果を評価した臨床研究です。あまり聞きなれない疾患だと思いますが、とても深刻な病気です。早速どのような研究が行われたのかを見てみましょう。

 

なお、この記事はFrontiers in Veterinary  Scienceに2017年2月14日付で掲載された論文を基に紹介しています。誰でも無料で読めますので、興味のある方は原著論文を読むことをお勧めします。

この記事でわかること

  • 猫伝染性腹膜炎には乾燥型と湿潤型がある
  • ポリプロニル免疫賦活剤(PI)は猫の免疫力を高める
  • ポリプロニル免疫賦活剤(PI)は乾燥型猫伝染性腹膜炎を発症した猫の生存期間を延長させる可能性がある

目次

  • 1 猫伝染性腹膜炎FIPとは?
  • 2 どんな症状が起こる?
  • 3 ポリプロニル免疫賦活剤(PI)
  • 4 生存期間の延長
  • 5 まとめ

猫伝染性腹膜炎FIPとは?

猫伝染性腹膜炎は、コロナウイルスの一種である猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)によって引き起こされる一連の症状のことを言い、「乾燥型(非滲出型)」と「湿潤型(滲出型)」の2種類に分けられます。

 

「猫伝染性腹膜炎ウイルス」というものが、自然界に存在しているわけではなく、多くの猫が保有している猫腸コロナウイルス(FECV)というウイルス(ほとんど病原性を示さない)が、猫の体内で突然変異を起こして出現します。

 

しかしながら、FECVを保有した猫の中で、後々猫伝染性腹膜炎を発症するものは10%以下とされています。 突然変異を起こす原因については明確に示されていませんが、子猫や高齢の猫、ストレスに悩まされている猫など、免疫力が低下していることが予測される猫に多く発症する傾向があることは確かなようです。

 

どんな症状が起こる?

猫伝染性腹膜炎の症状は「乾燥型(非滲出型)」と「湿潤型(滲出型)」で異なります。

 

◯乾燥型(非滲出型)

化膿を伴う*肉芽腫性の病変が特徴。食欲不振や体重減少などの慢性症状に加えて、内臓系の障害、*運動失調などの神経症状、*ぶどう膜炎などの目の症状など全身に様々な症状が現れる。

 

*肉芽腫:炎症を引き起こすような細胞が細菌を隔離することで生じる病変

 

*運動失調:神経系が障害されることによりうまく運動などができなくなるという症状

 

*ぶどう膜炎:目の中にあるぶどう膜に炎症が起こる疾患の総称

 

◯湿潤型(滲出型)

タンパク質を多く含んだ滲出液が、心膜腔や胸腔、腹腔などの身体の中の”隙間”に貯留するのが特徴。腹水(腹腔に水がたまる)や、胸膜炎、胸水(胸腔に水がたまる)などの症状が現れ、最終的に呼吸困難に陥り、数日~数ヶ月の内に死亡することが多い。

 

症状は急激に進行するものから、数ヶ月かけて徐々に進行する場合もあり様々ですが、一般的に「湿潤型(滲出型)」の方が進行が早いと言われます。予後は非常に悪く、典型的な症状が現れると、致死率はほぼ100%です。

 

ポリプロニル免疫賦活剤(PI)

このように猫伝染性腹膜炎は恐ろしい病気であり、現在有効な治療薬は確立されていません。

 

そこで今回の研究では、猫伝染性腹膜炎が免疫系の機能低下と関連していることに着目し、「免疫賦活剤」が良い治療効果を発揮するのではないのかと予測したようです。 一定の基準を満たし、獣医師によって「乾燥型(非滲出型)」の猫伝染性腹膜炎と診断された60匹の猫が対象となりました。 そしてこれらの猫に対して、免疫機能を向上させるポリプロニル免疫賦活剤(PI)による治療を行い、その効果を検証しました。

 

生存期間の延長

対象となった60匹のうち一部の猫に生存期間の延長が観察されました。対象の乾燥型猫伝染性腹膜炎の猫のうち8匹が200日以上、4匹が300日以上生存することができました。これまでに、先行研究などで報告されている「乾燥型(非滲出型)」の猫伝染性腹膜炎の症例59件の中で、200日以上の生存を報告した例は1例もありませんでした。

 

また、ポリプロニル免疫賦活剤(PI)を用いた治療を行い、30日以上生存した猫の診療にあたった獣医師は臨床症状や行動の改善も報告しています。

 

まとめ

この研究では対象実験(治療にPIを用いない群を用意する)は行っていませんが、以前の症例報告と比較すると、ポリプロニル免疫賦活剤(PI)により生存期間がかなり延びるということが実証されました。

 

治癒には至っていませんが、生存期間の延長という観点では、ポリプロニル免疫賦活剤(PI)は「乾燥型(非滲出型)」の猫伝染性腹膜炎の有用な治療薬となる可能性が示唆されたと言えるでしょう。

 

しかしながら「湿潤型(滲出型)」については有効な手立てはなく、猫腸コロナウイルス(FECV)の早期の除去など、発症させないための検討も今後進めて欲しいと思います。

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原著論文

Legendre AM, Kuritz T, Galyon G, Baylor VM, Heidel RE.Polyprenyl Immunostimulant Treatment of Cats with Presumptive Non-Effusive Feline Infectious Peritonitis In a Field Study.Front Vet Sci. 2017 Feb 14;4:7. doi: 10.3389

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