医療現場においてゴム手袋の着用は当たり前です。なぜなら患者(動物)にとっても医療スタッフにとっても感染症のリスクを軽減することができるからです。
実はこの手袋にはパウダー付きとパウダーが付いてないものがあるのですが、アメリカのFood and Drug Administration; FDA(アメリカ食品医薬品局)
がパウダー付きゴム手袋の使用禁止を決定しました。そして、その規則は2017年1月18日より効力を発揮します(無論、アメリカのみです)。
パウダー付きゴム手袋の利点
パウダー付きゴム手袋は医療スタッフが簡単にゴム手袋を装着できるような目的で開発されたものです。筆者も使用したことがありますが、確かになめらかにゴム手袋の着脱が行えます。
実際にパウダー付きゴム手袋を使用している人からすると、パウダー付きゴム手袋の方が破れにくかったり、皮膚への刺激が少ないというイメージがあるかもしれません。しかし、FDAは現在までに行われてきた研究によれば、そのような効果はないとしています。
また、現在ではパウダー無しゴム手袋においても十分に着脱しやすいようになっているため、パウダー付きゴム手袋を使用する必要はなく、むしろパウダー付きゴム手袋により引き起こされる副作用の方が問題であるとしています。
パウダー付きゴム手袋の欠点
FDAは様々なエビデンスや嘆願書などに基づいて、パウダー付きゴム手袋がもたらす健康被害について調べました。その結果、パウダー付きゴム手袋は炎症や肉芽腫、呼吸器系のアレルギー反応を誘発する可能性があるということがわかりました。
しかも、それらのリスクは医療スタッフだけではなく、患者にも起こるとしています。
パウダー付きゴム手袋の使用禁止
FDAの規制によると、規制対象となるのは手術用手袋、患者検査用手袋、手術用手袋用に使用するパウダーとしています。その他のレントゲン撮影時に使用するゴム手袋などについては対象としていません。
このようなパウダー付きゴム手袋の使用を禁止することにより、健康被害が抑制され、年間最大で2,680万ドル〜3,180万ドル(2017年1月のレートで30億〜36億円)の節約につながるとしています。
また、特にパウダー付きゴム手袋が使用禁止となったとしても、現在の製造数などを考慮するとその影響は少ないとしており、製造会社なども円滑に切り替えができるとしています。
猫への影響
FDAはあくまでも人間に対する健康被害しか述べていません。しかし、当然のことながら動物病院でパウダー付きゴム手袋を使用することで猫に人間と同じような健康被害が出る確率は高いです。そのため、動物病院においても診察時や手術時にパウダー付きゴム手袋を使用するのはやめて欲しいと個人的には思います。
これは猫だけでなく、動物病院のスタッフの健康を守ることにもつながり、動物病院でパウダー付きゴム手袋を使用しないことを推奨して欲しいと思います。
まとめ
2017年1月18日よりアメリカでは病院におけるパウダー付きゴム手袋の使用が禁止されます。これは、パウダー付きゴム手袋がもたらす健康被害を考慮したものです。パウダー付きゴム手袋の使用が禁止されたとしても、十分にパウダー無しゴム手袋で業務を行うことが可能です。
日本の動物病院においてもパウダー付きゴム手袋の使用が中止され、パウダー無しゴム手袋の使用が推奨されることを望みます。猫と人間に優しい病院作りを行っていきましょう。
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参考文献
Federal Register: The Daily Journal of The United States Government
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