猫や犬の食物アレルギーの原因食物を診断する際には、除去食試験と負荷食試験を用いられるのが一般的です。そして、除去食試験ではペットフードに記載されている原材料名などを参考に、ある特定の原材料が含まれていないことを確認し、試験を行っていきます(詳しくは「猫の食物アレルギー検査4種とその精度」の記事を参照ください)。また、アレルギーの原因となる食物が断定されると、その食物が含まれていないペットフードを選択して、与えていく必要があります。しかし、最新の研究によると、ペットフードの中には原材料に記載されていないような食物が混入している可能性が高いということがわかりました。
原材料の記載に関する不備
研究では、2000年から2017年までにペットフードのコンタミについて調べた、18の論文を解析していきました。それらの論文はアメリカ、スペイン、イタリア、台湾、フランス、イギリス、オーストリアなどのペットフードを解析しており、ほとんどの論文において、DNAを解析するPCRが用いられています(中にはELISAsや質量分析法を使用しているものもありますがわずかです)。
結果として、18の論文で検査されたペットフードのうち0~83%のペットフードに原材料に記載のないものが含まれていることや、反対に、原材料に記載がある食物が含まれていないことがわかりました(圧倒的に記載のないものが含まれていることの方が多い)。ちなみに、不備が全くなかった、つまり0%であったことを報告している論文は1つしかありませんでした。
そして、驚くべきことは、それらのペットフードのうち、除去食試験などに使用することを想定しているペットフードにおいても、同様の不備があることがわかりました。
まとめ
これらの結果は意外にも多くのペットフードにおいて原材料に記載のないものが含まれていることを示唆しています。それらの不備がどのようにして起こっているのか不明ですが、食物アレルギーを持つ猫や犬にとってはとても厄介なことです。そのため、せめて除去食試験に使用することを想定しているようなフードに関しては適切な管理をして欲しいところです。
今回紹介した研究論文はオープンアクセスであり、誰でも無料で閲覧することができます。
原著論文:Olivry T and Mueller RS, Critically appraised topic on adverse food reactions of companion animals (5): discrepancies between ingredients and labeling in commercial pet foods. BMC Veterinary Research (2018) 14:24.
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