どんな病気か詳しくは知らなくても、”狂犬病”という言葉は聞いたことがあると思います。でも、なんとなくですが”狂犬病”という名前がついているから「犬」に関係する病気で、猫は心配ないと思っている方はいませんか?猫はもちろん、私たち人間も含めたほとんどの哺乳類は狂犬病にかかります。
現につい先日、カナダのハミルトンの公的機関は、狂犬病に感染性した猫の死体を発見したことを発表しました。
この記事でわかること
- 2017年2月6日に見つかった猫の死体から狂犬病ウイルスが検出された
- 狂犬病ワクチンの接種が推奨されている
狂犬病ってどんな病気なの?
狂犬病について軽くご説明しておきたいと思います。狂犬病は狂犬病ウイルスに感染することによって引き起こされる病気です。狂犬病ウイルスは致命的なウイルスとしても非常に有名です。
一旦感染すると、中枢神経系(脳や脊髄などの体の中枢)に影響を及ぼします。たいてい、最初の感染から2〜6週間の内にウイルスは脳まで達し、それからは症状が非常に早く進行していきます。脳まで達したウイルスは、そのあと唾液腺(よだれを産生する組織)へと向かいます。これにより、この動物が他の動物を咬むことで、感染を広げることになります。
狂犬病ウイルスを保有しているとよく言われる動物はスカンク、コウモリ、アライグマ、キツネです。犬や狼が挙げられていないのは、意外ですよね。
ハミルトンでの事例
カナダ食品検査庁(CFIA)は、2017年2月6日に死体で見つかった猫が狂犬病の検査で陽性であったことを報告しました。ここ1年で、ハミルトンで狂犬病陽性とされた猫のケースは、昨年の夏以来これで2例目です。
少なくともこの20年で、猫が狂犬病により死亡したケースは20以上は認められていません。従って、ハミルトンでは、猫の狂犬病が流行り始めるのではないかと危惧されているのです。現に、猫以外ではアライグマやスカンク、コウモリなどが狂犬病になり死亡した例が、ハミルトンで去年から200以上報告されています。
住民たちへ注意喚起
現在、ハミルトンの健康関連機関は、これらの猫に接触したかもしれない人たちに注意を呼びかけるとともに、飼い猫(特に半室内飼いや屋外で飼っている猫)が感染する(している)危険性も呼びかけています。
今回、発見された猫の死体は住宅街のすぐ近くにあったようです。従って、特に周囲の住民の方たちは、野良猫や野良犬などの狂犬病ウイルスに感染している可能性のある動物(あまり見かけないような野良猫や野良犬)に安易に触れないようにしなければなりません。もちろん、アライグマやスカンクなどの野生動物にも触れないようにしなければなりません。
感染を防ぐのが最善の方法
もし狂犬病ウイルスに感染した猫に咬まれたり、引っ掻かれたりして狂犬病にかかった場合、現在の医療では治療できる手立てはなく、99%死に至ると言われます。したがって、感染を未然に防ぐ予防接種などが最善であり唯一の対策方法なのです。
アライグマの狂犬病感染が原因?
ハミルトンの公的機関は、アライグマの狂犬病感染の再燃が原因となっているのではないかとしています。現在、カナダ食品検査庁(CFIA)は、今回、見つかった猫の死体から検出された狂犬病ウイルスがアライグマで見られる狂犬病ウイルスの種類と同じものかどうかを検査しており、近いうちにその結果が出るようです。
まとめ
狂犬病は本当に恐ろしい病気ですよね。日本では、あまり聞かれることはありませんが、特にワクチン接種の進んでいない国などでは、不用意に犬や猫に触れることがどんなに危険なことかがお分かり頂けると思います。また、狂犬病に関わらず、野生の動物は何か病気を持っていかもしれないという意識を私たちが持つことが重要ですね。
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参照サイト
Dead cat in Hamilton, Ont. tests positive for rabies
Second rabid cat found in Hamilton; public health advises caution around stray animals
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