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猫慢性腎臓病(慢性腎不全)に対する新治療薬「ラプロス®」の効果を分かりやすく解説

2017年9月18日

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2017年1月24日に日本の会社「東レ(TORAY)」が猫の慢性腎臓病(慢性腎不全)に対する治療薬「ラプロス®」の製造販売承認を取得しました。これにより、早ければ2017年4月よりこの薬が動物病院にて処方されるようになります。

このニュースは多くのメディアで取り上げられており、知っている方も多いのではないでしょうか? しかし、その内容は素人にとっては分かりにくくなっています。この記事では猫の慢性腎臓病(慢性腎不全)に対する新治療薬「ラプロス®」がどのような効果を有しているのかを分かりやすく解説していきます。

目次

  • 1 ラプロスの成分
  • 2 ラプロスの投与方法
  • 3 ラプロスの効果
  • 4 まとめ

ラプロスの成分

ラプロスはあくまでも商品名であり、実際の薬品名は「経口プロスタサイクリン(PGI2)製剤」です。さらに、このプロスタサイクリンはベラプロストナトリウムと呼ばれる化学物質が主成分となっています。

このベラプロストナトリウムは1990年代よりラットやマウスを用いた動物実験で、慢性腎臓病(慢性腎不全)に対する効果が示されてきました。近年では人間の慢性腎臓病(慢性腎不全)に対する効果を検証するために、様々な治験が行われてきましたが、その治療効果については様々なようです。

ここでいう慢性腎臓病(慢性腎不全)は疾患の名前ではなく、種々の原因により引きおこされた腎臓機能の低下のことを指します。

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ラプロスの投与方法

対象

ラプロスの対象となる猫は10歳以上「10ヶ月齢以上」かつ体重7kg未満であり、慢性腎臓病(慢性腎不全)のIRISステージに置いてステージ2~3の猫になります。1日2回朝晩食後に経口投与することで、その効果が得られるとしています。

 

ステージ

IRISとはInternational Renal Interest Societyの略で国際的な腎臓病の研究をしている協会であり、その協会が慢性腎臓病(慢性腎不全)のステージ分けをしています。ステージは1~4まであり、ステージ1では腎臓の機能が33~100%残存しているものになります。そして、ラプロスの対象となるステージ2と3では、それぞれ25~33%、10~25%の腎臓機能しか残存していないという状態になります。

動物病院に来る猫の多くはステージ2〜であることが多いため、そのような猫の腎臓機能の悪化を防ぎ、現状の腎臓機能の維持もしくは改善が期待できるわけです。

 

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ラプロスの効果

ラプロス(プロスタサイクリン)の効果には主に次のようなものがあります。

腎臓の線維化の抑制

慢性腎臓病(慢性腎不全)が進行するにしたがって腎臓の線維化が進行していきます。線維化とは破壊された組織(細胞の集団)の修復や再生が不完全となった際にその場所に細胞外基質(細胞以外の構造物)や間質細胞(細胞の一種)などが入り込むような現象です。

このような線維化が起こった腎臓の場所にはなかなか血液が入ってこないため、腎臓の機能だけでなく腎臓の細胞自体も損なわれてしまいます。

ラプロスはこの線維化の進行を促進する生理学的な連鎖を抑制するように機能します。

 

血小板凝集の抑制

慢性腎臓病(慢性腎不全)では血液を固める血小板と呼ばれる細胞成分が活性化し、血液を固めようとします。これにより、その血小板が集まった部分(凝集部分)では、血液の供給が途絶えたり、減少するため腎臓の組織が障害されてしまいます。

ラプロスはこの血小板の凝集も抑制するように機能します。

 

高血圧の抑制

腎臓は血液をろ過する機能を持っている臓器で、ろ過が行われる部分の動脈のことを糸球体といいます。慢性腎臓病(慢性腎不全)ではその糸球体(動脈)において高血圧が認められることが多く、糸球体硬化(動脈硬化)が起こってきます。糸球体が硬化すると腎臓でのろ過機能が著しく障害されます。

ラプロスは糸球体(動脈)を拡張させるため、高血圧になり過ぎるのを防いでくれます。

腎動脈からの血液が糸球体(動脈)に行き、紫色の矢印の方向に向かって血液内の物質が移動する。これをろ過という。慢性腎臓病(慢性腎不全)ではこの糸球体に問題が起こることが多い。

糸球体内皮細胞障害の抑制

糸球体の内側には内皮細胞と呼ばれる細胞があり、これが糸球体(動脈)を形作っています。慢性腎臓病(慢性腎不全)では、この内皮細胞が障害されることが知られています。糸球体を形作っている内皮細胞が障害されると、当然腎臓のろ過機能そのものが障害されることになります。

ラプロスはこの糸球体内皮細胞を保護することによって、腎臓のろ過機能が障害されるのを防いでくれます。

 

炎症性サイトカイン産生の抑制

慢性腎臓病(慢性腎不全)では、上記のような糸球体の障害が起こった際にマクロファージと呼ばれる炎症などを引き起こす細胞が集まってきます。マクロファージは糸球体が障害された場所において炎症を引き起こす「炎症性サイトカイン」と呼ばれる化学物質を放出します。この炎症は腎臓組織そのものの障害やろ過機能の障害などを引き起こし、腎障害を悪化させます。

ラプロスはこの炎症性サイトカインの産生を抑制するとともに、炎症性サイトカインが作用し、炎症が起こった後に正常な状態に回復する手助けを行います。

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まとめ

早ければ2017年4月よりラプロス(経口プロスタサイクリン製剤:PGI2)の販売が始まり、慢性腎臓病(慢性腎不全)を患っている猫は恩恵が受けることができます。猫にとっては嬉しい話です。

最後に、上記の効果が理解できなかった方のために、その効果を簡単にまとめると、猫に慢性腎臓病(慢性腎不全)が起こり、腎臓の血流量が低下すると腎臓の細胞が死んだり、機能しなくなるため、ラプロスは腎臓において不足する血流を確保しているということです。

この新薬にて多くの猫の生活の質が向上することを願っております。

 

Update:2017/9/14:対象年齢の部分に誤記がありました。当初10歳齢となっておりましたが、正しくは10ヶ月齢になります。

 

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参考文献

Toray

岡田浩一: 腎臓疾患と繊維化, 日本内科学会雑誌 Vol. 104 No. 8 p. 1658-1664, 2015. 

Akio KoyamaEmail author, Toshiro Fujita, Fumitake Gejyo et al., Orally active prostacyclin analogue beraprost sodium in patients with chronic kidney disease: a randomized, double-blind, placebo-controlled, phase II dose finding trial. BMC Nephrology16:165, 2015.DOI: 10.1186/s12882-015-0130-5

藤田宜是:腎疾患とプロスタサイクリン. 血管医学 Vol.7 No.3 p.73-82, 2006. 

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コメント

  1. a さんのコメント

    2017年9月14日 at 5:37 PM

    10月齢以上の間違いではありませんか?

    返信
    • saramumomma さんのコメント

      2017年9月14日 at 6:31 PM

      ご指摘ありがとうございます。その通りでございます。訂正お詫び申し上げます。
      門馬

      返信

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