イギリス議会はイングランド・ウェールズ緑の党が新しい法案に追加すべき条項として提案した動物は感情や痛みを感じるという内容を否決しました。
新しい動物福祉に関する法案
2016年6月23日の国民投票によりBrexitが正式に決定し、2019年の3月までにEUを離脱する予定です。イギリスにおける現行の動物福祉に関する法律の約80%はEUのものを適用しているため、2019年からはそのほとんどが無効になります(Metro)。そのため、現在動物福祉に関する法律の法整備が進められています(他の分野でも進められています)。
動物はSentient Beingではない
そんな中、イングランド・ウェールズ緑の党に所属するCaroline Lucas議員は「動物はSentient Beingである」という内容を加えることを、発案をしました(Metro)。ここでいうSentient Beingとは動物は痛み、空腹、不快感などを感じることができるとともに、感情を有しているという意味です。しかし、この法案は賛成295、反対313で否決されました。反対の大多数は保守党系に議員によるものです。
政府の言い分
政府は議案の投票に移る前に、動物がSentient Beingであるという記載はすでにthe Animal Wefare Act 2006(動物福祉法2006)に認められていると述べ、盛り込む必要はないと述べました(Independent-1)。
しかし、その法律はコンパニオンアニマルに対してのみ適用されるものであり、全ての動物を対象にしているものではありません(Independent-1)。つまり、今回の条項が否決されたことにより、コンパニオンアニマル以外の動物たちは全てSentient Beingではなく、感情や痛みを感じないということを政府が認めたというように解釈できます。
動物がSentien Beingであるという記載は、イギリスが動物福祉の向上を行う上でとても重要であったという認識があります。そのため、この記載がなくなることで、営利目的での動物実験や劣悪な飼育環境での飼育などが広がる可能性が危惧されています(Independent-2)。
署名活動
政府の行動に対する、抗議活動として署名活動が行われています。現在のところ、「38Degrees」、「Change.org」、「Care2Petitions」にて署名活動が行われており、かなりのハイスピードで署名者数が増加しています。
まとめ
動物たちは感情や痛みを感じるということは、もはや周知の事実であり、多くの研究で示されています。最近では動物たちの感情などを明らかにするための科学雑誌「Animal Sentience」が出版されるほどです。それにも関わらず、なぜイギリス政府はわざわざ時代に逆行するような行動をとるのでしょうか?普通に考えると、この状況ではコンパニオンアニマル以外の動物に対する「5つの自由」なんて保障されていないも同然ですよね。今後どのような方向に進んでいくのか心配でなりません。
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