捨てられた猫ちゃんたちの運命はどうなるのが一般的なのでしょうか?最近では保護団体や保護活動が増え始め、新しい飼い主に引き取ってもらえる猫は着実に増えています。一方で、殺処分されている猫ちゃんがいることも事実です。やはり、猫をちゃんと面倒見ようとすればそれなりのお金がかかって来ますから、ある一定以上の数を超えるとそうせざるを得ないという現実があります。
殺処分・・?
本当に殺処分が最も有効な方法なのでしょうか?殺処分は文字どおり、大切な命を奪ってしまいます。”残酷だ”と思う方が多いのは事実ですし、そう言った業務にあたっている方の精神的な負担も相当なものと言えます。現に、以前に台湾で殺処分の業務にあたっていた女性獣医の方が自殺したという事例もありました(詳しくは、こちらの記事をご参照ください)。
動物福祉に対する関心の高まり
このような、シェルター(動物保護施設)における殺処分をめぐり、クロアチア(旧ユーゴスラビア)では動物保護に関して新しい法律が先日の2017年5月19日に制定されました。
クロアチアでは今年の1月にも、動物の被毛目的の繁殖が禁止されるなど、最近動物保護に対する制度が整って来ています。今回の法律では、シェルターに保護した動物の殺処分が禁じられ、それぞれの州に政府が定める「NO Kill シェルター」が設置されることになりました。
殺処分禁止へ
クロアチアの農務省の統計によれば、2016年度は、28のシェルターであわせて633匹の動物が殺処分されており、このうち71匹が猫で残りが犬でした。殺処分された理由としては、怪我や病気のほか、60日以上シェルターに滞在したからというものもありました。しかしながら、これは表面的なもので、実際の数はもっと多いと思われます。
クロアチアでは動物保護施設は慈善団体が運営しているものが多く、より効率的にこれらの政策を実行しやすくするために国の管轄にある州が責任を持つ「シェルター」の設立がこれからなされます。
資金投資も
新しく設置されるNo Killシェルターは少なくとも50匹の犬や猫を引き取ることのできる規模のものになるようです(引き取れる犬や猫の比率や詳しい設備などは調べましたが分かりませんでした)。そして、No Killシェルターに引き取られた猫は、新しい飼い主が見つかるまでそこにいることができます。
これまで殺処分にかかっていた費用を食費、ワクチン接種代や去勢・避妊手術代、医療費などのシェルター運営費に回し、政府は1つのシェルターにつき最低でも年間549,000Kuna(日本円で約1,000万円程度)を支給する予定だそうです。(これが十分な費用と言えるかはいささか疑問ですが・・・)
まとめ
シェルターにおける殺処分が禁止されたという点は、東欧はもとより世界的に見ても台湾に続き革新的な法律と言えるのではないでしょうか?この法律に関する国民の支持も高いようで、今後クロアチアでの動物福祉はさらなる向上を見せそうです。
非常に素晴らしい法律だと思いますが、動物の幸せをきちんと守りながら「殺処分ゼロ」を実現できてこその法律だと思います。クロアチアでこの法律が持続可能だと実証できれば、それは他の国への後押しにもなりますし、ぜひ定期的に状況を開示してほしいものです。
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参照サイト
Abandoned Animals in Shelters Will No Longer Be Killed
The Treatment of Animals in Croatia
AFC – Shelters for Abandoned Animals
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