愛猫の鼻を見ていると、その時々で色が変わっているように見えませんか?単純に、光の当たり具合によって鼻の色が変わるのではないかと思うかもしれませんが、実は、実際に鼻の色が変化しているようです。この記事では、なぜ猫の鼻の色が変わるのかについて紹介していきます。
酵素により鼻の色が変わる?
猫によっては夏よりも冬の方が鼻の色がより薄くなることがあります。こういった鼻のことを『冬の鼻(Winter Nose)』と言ったり、『雪の鼻(Snow Nose)』ということがあるようです(Dr. Becker, the Nest)。
これは猫の鼻にあるチロシナーゼという酵素が関連していると考えられています(Dr. Becker, the Nest)。チロシナーゼは酸素を使うことで、チロシンをメラニンという物質に変換する酵素であり、このチロシナーゼが活性化するとより濃い色に見えるということになります。このチロシナーゼは温度に敏感であり、温度が低くなるとチロシナーゼの働きが鈍くなるために、冬などの気温が低い場合には通常よりも鼻の色が薄くなるということです。
しかし、室温が一定に保たれている場合でも猫の鼻の色が変わることもありますし、短時間のうちに鼻の色が変わることもあります。そのため、チロシナーゼにより鼻の色が変わるという理由はどうしても納得できない部分があります。では、何が鼻の色の変化に影響を与えているのでしょうか?

鼻の色が変わる原因は「血管」にあった
猫専門の動物病院の獣医師であるGibbons氏によると、猫の鼻には多くの血管が存在しており、それらの血管が拡張したり、収縮したりすることで鼻の色が変化しているとしています。
例えば、猫が寒い環境にいる場合には鼻の血管が収縮するため、鼻に通う血液が少なくなり、薄いピンク色などになります。一方で、猫が暑い環境にいる場合には鼻の血管が拡張するため、鼻に通う血液が多くなるため、濃いピンク色や赤色に見えてくるというわけです。
もちろん、鼻の色の変化は血圧の影響も受けるため、短時間での変化も観察されます。例えば、猫が興奮したり、猫にストレスなどが加わった場合には、血圧が上昇するため、鼻に多くの血流が通うようになり、鼻の色が濃いピンク色や赤色に見えてきます。

病気の可能性も
前述したように、健康な猫でも鼻の色が変わります。しかし、時には病気により鼻の色が変わっている可能性もあります。Brunt獣医師によると、猫の鼻が白っぽくなる場合には、貧血や循環器系の問題があるとしています。また、鼻が青っぽくなったり、暗い色になる場合には酸素が不足していることを示しており、臓器不全やヘモグロビン量の低下、毒物摂取の可能性があるとしています。さらに、猫が活動レベルが増加した際に、口でハアハアと呼吸をし、鼻の色が変化している場合には緊急性が高いとしており、呼吸器系などの問題などをはらんでいるとしています。
Becker獣医師によると、プラスチックに敏感な猫では、プラスチック製のお皿で餌を継続的に与えている場合に、鼻の色が薄くなることもあるとしています。
肝機能が障害され、黄疸が出現した場合には、鼻が黄色になることもあるようです(VetInfo)。また、鼻に強い外力が加わり、打撲などが起きた場合には鼻が青じむため、鼻が青色もしくは暗く見えることもあるとしています。アレルギー反応によっては、鼻の色が濃くなることがあり、腫瘍によっても色が変化することがあるとされています。
まとめ
健康な猫でも鼻の色が変わることがあり、鼻の色素が薄いピンク色の鼻を持つ猫ではその変化がわかりやすいと思われます。鼻の色の変化は病気の可能性もあります。健康か病気かを見極めるには、飼い主の観察眼が重要になります。これは、日頃から愛猫の鼻の色を観察し、どこまでの範囲の色の変化が正常なのかを知ることで、異常がわかるようになるからです。また、鼻の色だけでなくその他の体部位の変化や猫の行動の変化も合わせて観察することも重要です。例えば、鼻の色が白っぽく変化するとともに、歯茎が白くなっている場合には貧血の可能性があります。
もし、病気の可能性が高い場合にはすぐさま動物病院に連れて行くようにしましょう。それ以外の時は、愛猫の鼻の色の変化を楽しみながら、どの程度の変化が正常かを見極めるようにしておきましょう。猫は体調不良を隠すエキスパートであるため、鼻に関わらず、日頃から愛猫の体のことは把握しておくようにしておくことが大切です。
話が少しだけ変わりますが、カラーポイントの猫では、色を濃くするチロシナーゼに変異があります。そして、そのおかげで甲状腺機能亢進症に強い可能性が示唆されています。詳しく知りたい方は「猫のカラーポイントに隠された秘密 〜カラーポイントが現れる背景と利点〜」の記事を参照ください。
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