全国の大学には猫サークルが多く存在しており、それぞれ猫に関する活動を行っています。今回はそんな猫サークルの中から京都大学に暮らす猫たちの世話をしている京都大学猫サークル”Cat-Ch”の活動について紹介していきます。
京都大学猫サークル”Cat-Ch”
京都大学猫サークル”Cat-Ch(キャットチャンネル;通称「キャッチ」)”は2013年に発足しました。2017年10月上旬の時点で、所属人数は54人おり、男女比は6:4と男性の方がやや多い傾向にあります。
もともとは京都大学にて猫のお世話をしていた大学職員さんのお手伝いをするという形で活動が始まりました。そして、現在では大学職員さん以外にも地域の人たちと連携をとりながら京都大学に暮らす猫のお世話をしています。
サークルの目的は『京都大学内の猫を責任をもって終生お世話し、猫にも人にもやさしい構内環境づくりをする。』というものであり、『ねこも幸あれ、ひとも幸あれ』という活動理念を掲げて、日々活動を行っています。
今回、ほぼ毎日行われている活動の一部について取材できる機会を得ましたので、紹介していきます。
夕方から行われる猫のお世話
毎日夕方より活動が開始され、メンバーたちは京都大学にいる23匹の猫の世話を行います。猫の世話は主に餌や水やり、猫の様子確認、ゴミの収集などであり、給餌場所は複数場所存在しています。
猫の世話は当番制であり、それぞれ週1回程度、活動に参加するようですが、多い人では週2~3回活動に参加します。当番制でありながらも、参加者の数は毎日変動し、人数が多い時には分担して各給餌場所にて世話を行っていきます。今回取材できたのは3カ所の給餌場所のみになります。
第1弾
まずはサークルメンバーで集まり、1ヶ所目の給餌場所で京大職員さんと一緒に餌作りです。ウェットフードとドライフードが用意されており、基本的にはドライフードとウェットフードの両方が、それぞれのお皿に盛り付けられていきます。

いつも同じような時間帯に同じような場所で餌を与えているため、給餌場所にはすでに餌を待つ猫ちゃんたちがいます。

1ヶ所目の給餌場所では、7匹の猫が集まっていました。餌が入ったお皿は分散して設置されており、猫同士の距離が近くなりすぎないように配慮されています。

どの猫たちも自由な場所を選んで餌を食べていました。

中には他の猫との関係性から、隠れた場所で給餌されている猫もいました。

近くには、猫のためのシェルターも用意されており、雨をしのぐことができるようになっています。
第2弾
1ヶ所目の給餌が終了すると、サークルメンバーがいくつかのグループに分かれ、その他の給餌場所に移動し、餌と水を与えていきます。私が取材できた2ヶ所目の給餌場所では、4匹の猫に餌と水を与えていました。
第3弾
そして、3ヶ所目は少し離れたところに移動し、餌と水を用意し与えていきます。この場所でも猫たちがお出迎えしてくれます。
ここでは計6匹の猫の世話を行いました。

しっかりと猫の様子も確認し、その様子をノートに記録していきます。この記録は地域の世話人の方々と情報を共有するために利用しています。
休憩
給餌と水やりがひと段落し、第3弾の猫たちが食事を終えるまでの間、メンバーは近くの食堂で夕飯を食べながら、今日あった出来事をサークルの活動ノートに記録していきます。活動ノートには参加した人の名前や餌や水を与えることのできた猫の名前、猫の様子などを記録していきます。
後片付け
休憩後、猫のお皿の回収と洗浄を行います。どのお皿も綺麗に完食されていました♪ これで1日の活動は終了です(終了した時刻は21時前後でした)。

猫の様子
“Cat-Ch”で管理されている猫のほとんどは避妊・去勢手術が完了している状態でした。猫も健康状態は良さそうであり、特に痩せすぎていたり、衰弱気味の猫などはおらず、しっかりと世話がされています。

ほとんどの猫は給餌場所で人間を待っているだけあって、人間に対してそこまで高い警戒心を持っているというわけではありませんでした。それでも、人懐っこい猫は数匹であり、ほとんどの猫は適切な社会化期を経ていない可能性が高そうでした。メンバーの方達は以前よりかは人間を警戒しない個体が増えたと述べており、徐々に人間に馴れつつあるようです。

猫同士の仲はマチマチであり、仲の良い猫もいればお互いに警戒し合う猫もいました。警戒し合う猫がいるような給餌場所では、メンバーたちが餌を配置する場所を考慮しており、十分な配慮が行えている様子が伺えました。
課題と今後
金銭面
餌代などは京大職員さんや地域の人たちに頼っている部分が多く、サークルとしては一部しか金銭的負担を行えないというのが現状です。今後猫の個体数に応じて、会費収入の増減などを検討していくようです。なお、サークルでは常に寄付を募っているため、興味のある方はぜひ寄付をするようにしてください。
地域の人たちとの連携
猫に餌やりを行っているのはサークルだけでなく、地域の人たちの中にも世話を行っている人がいます。そのため、猫の体調管理や苦情の共有などを行う上でも地域の人たちと連携が重要となります。しかし、サークルでは猫の世話をしている地域の人たちすべてを把握し、連携を取れてはいません。今後、まだ連携を取れていない地域の人たちに連絡をとり、協力しながら猫の終生飼養を模索していくとのことです。
周囲の批判
猫の世話をよく思わない人も少なからずいます。現在までにも『猫に不必要な餌やりを行うな』や『TNRではなく殺処分をしろ』などの意見があったようです。ちなみに、京都大学は特に猫の世話をすることについて、一定の立場を取っておらず、大学側から何かしらの圧力があるというわけではないようです。
こういった苦情に対して、サークルとしては真摯に対応しており、連絡などを取り合い、活動内容を理解してもらおうとしているようです。例えば、『多くの猫にTNRを行うことは、殺処分を行うよりも人道的な方法であり、また騒音被害や近隣被害を減らすことができます。』というように、相手のメリットになるような説明を行うことを心がけているとのことです。

京都大学における猫と猫サークルの認知度
取材をしていると、同サークルに所属していない2名の京大生に絡まられるシーンがありました(特に苦情とかではなく、サークルの勧誘です)。その際、2名の京大生たちは京大に猫サークルがあることや、京大に猫がいること自体知りませんでした。京大の猫と猫サークルの認知度が上がることは、猫の世話をする上でも重要になります。例えば、猫の世話に対して厳しい態度がとられた際には、共に反対の声をあげてくれる人が増える可能性が高まるからです。また、金銭的な援助をしてもらえる可能性も高まります。
一方で、認知度が高まることで、猫の虐待に関する危険性なども出てきます。この問題に対しては、給餌場所や猫の居場所などを拡散しないようにTwitterなどで呼びかけるなどの対策を行っています。
“Cat-Ch”としては、多くの人に京都大学にはたくさんの猫がいるということを認知してもらい、京都大学の中で人と猫が当たり前のように共生できるような環境を構築していきたいとしています。
まとめ
京都大学の猫サークル”Cat-Ch”の日々の活動について紹介していきました。同サークルでは京都大学に生息する猫の世話を行い、猫の福祉を維持・向上しようとしています。まだ、様々な課題があるものの、少しずつ課題の解決に向けて前進している様子が伺えました。学生が多く、定期的にメンバーが入れ替わるにも関わらず、しっかりと前進している部分は凄いことだと思います。
京都大学の猫サークル”Cat-Ch”には、京大生でなくても加わることができます。もし、サークルの活動に興味を持たれた方がいましたら、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか?また、いつでも寄付が行えるため、活動内容に共感された方や援助をしたい方は寄付を行っていただければと思います。
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