当たり前の話ですが、猫に使用する薬は人間、特に子どもにとっては危険です。そのため、多くの家庭では小さな子どもの手の届かないような場所に猫の薬を保管していると思います。しかし、最新の研究では青年期の子どもにも注意しなければならないことがわかってきました。
アメリカ、オハイオ州にあるCentral Ohio Poison Centerは2017年2月号のPediatrics誌にて、ペットの薬と子どもに関する報告を行い、ペットの薬を保管する際の注意点を述べています。
この記事でわかること
- 5歳以下の子どもは誤飲に注意しなければならない
- 青年期(13~19歳)の子どもにおいてもペットの薬を誤飲・誤用する危険性がある
- 猫用の薬を正しく保管する方法
5歳以下の子どもは特に注意
発表された報告では、1999年〜2013年にCentral Ohio Poison Centerが対応した電話、1431件を解析しています。その1431件の電話のうち87.6%は5歳以下の子どもが関わっていました。多くの原因は、好奇心旺盛な子どもが色々と触っている際に誤飲してしまうというものでした。また、飼い主がペットに薬を使用している際に、それを飲んでしてしまうことも5歳以下の子どもでは多かったようです。
6歳〜12歳、13歳〜19歳も注意
6歳〜12歳の子どもに関する電話は全体の6.6%、13歳〜19歳の子どもに関する電話は全体の5.8%でした。そして、それらの子どもにおいて、最も多かった原因は人間の薬と誤認してペットの薬を飲んでしまうというものでした。意外ですが、青年期の子どもにおいてもこういうことが起こり得るということが明らかになりました。
誤用・誤飲されやすい薬
ペットの薬のうち最も誤用があった薬はペット専用、つまり人間の薬には入っていないような成分が含まれている薬だったそうです。そして、その次に抗菌薬antimicrobials、駆虫薬antiparasiticsなどが続きます。また、全体の約88%は犬用の薬の誤用だったそうです。だからといって、猫用の薬は大丈夫ということではありません。
幸いながら、薬を誤用してしまっても軽度な健康被害で済むようです(全体の約97%)。
猫の薬の保管方法
上記のような結果を踏まえて、Central Ohio Poison Centerの研究者らは次のような保管方法を推奨しています。研究者らはペット用の薬という言葉を使用していますが、この記事では猫の薬に置き換えています。
- 薬を使用しない場合には安全な場所に保管すること
- 子どもに見えないような場所、子どもの手が届かないような場所に薬を保管すること(鍵をしておくのがベスト)
- 人間用の薬箱と猫用の薬箱は分けて保管しておくこと(別々の場所が望ましい)
- 猫の薬は容器を変えず、パッケージのまま保管しおくこと(そうすることで間違いが減ります)
- 薬を猫の餌に混ぜて与える場合には子どもがいない時に行うこと。もし、子どもを別の部屋に移動させている場合には、餌が全て食べ終わったことを確認してから子どもを部屋に戻すこと。
- 皮膚に垂らすような薬(駆虫薬など)を使用する場合にも子どもがいない時に行うこと。もし、子どもを別の部屋に移動させている場合には、投薬した部分の皮膚が乾いたことを確認してから子どもを部屋に戻すこと
- もし、子どもが猫の薬を誤飲・誤用した場合にはすぐに病院に連れて行き、誤飲・誤用した薬の名前を伝えること
まとめ
小さな子どもの手の届かない場所に猫の薬を保管するということは多くの方が心がけていると思いますが、10代の子どもたちにも気をつけなければならないということは初めて知ったのではないでしょうか? 人間用の薬と猫用の薬を分けて保管し、猫用の薬はパッケージのまま保管しておくということが重要ですよね。勉強になりました。
今回、猫用の薬よりも犬用の薬を誤飲・誤用することが多かったようですが、これは猫の方が動物病院に行く頻度が少ないという背景も絡んでいそうです。猫の薬も誤飲・誤用する可能性が十分にありますので気をつけましょう。
また、日本では高齢者が多いため、二世帯住宅や高齢者が出入りする環境にある家庭では子どもだけでなく高齢者に対しても配慮したほうが良いかもしれません。
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