3歳の子供が故意に猫を洗濯機を入れ、飼い猫が死んでしまうという事件がアメリカのアイダホ州で起こりました。猫を洗濯機に入れた3歳の子供は、猫がいつも汚いという認識を持っていたようで、猫を綺麗にするために良かれと思って、洗濯機に飼い猫である黒猫”Addie”を洗濯機に入れてスイッチを押したようです。その後、その子が昼寝をしている間に祖母が洗濯機が動いていることに気づき、洗濯機の中を開けると、そこにはAddieの亡骸があったそうです(EastIDAHOnews.com)。
なんともやるせない気持ちになりますよね。3歳の子供が良かれと思ってやったこととはいえ、それが結果として猫ちゃんの命を奪うことになるなんて、本当に複雑です。しかし、こういった事故は未然に防ぐことは可能であるため、この事故をきっかけに猫を飼っている多くの人が洗濯機の危険性と事故の予防の仕方を学ぶことが重要です。
猫を洗濯機に入れるとどうなるの?
猫を洗濯機に入れると、猫には誤嚥性肺炎、組織の化学損傷、熱損傷、頭部外傷などが起こり、迅速かつ適切な処置が行われない場合には命に関わります(Stewart et al., 2010)。
最も命に関わるのは、大量の水を誤嚥することで、肺に水がたまり肺水腫になり、体に酸素が供給できなくなることです。また、水を大量に飲むことでパニック状態になり、嘔吐などが起こり、それが呼吸器系に詰まってしまうと致命的になります。
さらに、洗濯機の水には洗剤が含まれていることが多いため、それらの洗剤が皮膚や目、肺、胃、腸管などを化学的に損傷してしまいます。熱損傷は洗濯機内の温度が高い時に起こりますが、日本の洗濯機では水道水を用いることが多いため、起こりにくいかもしれません。頭部外傷は洗濯機がグルグル回る際に、猫が揺さぶられ、頭部が容器内にぶつかることで起こると推測されています。
洗濯機による事故を防ぐには?
洗濯機を使用する際には以下のことに気をつけましょう。
子供が洗濯機を勝手に使用できない環境を作る
子供が勝手に洗濯機を使用しないように、洗濯機の部屋への子供たちの出入りを制限したり、子供がスイッチに手が届かないように踏み台などを置いておかないなど対策を行いましょう。先ほど紹介したニュースのように、3歳の子供ですら洗濯機を動かすことができるのですから、入念に対策を行っておきましょう。
また、子供に猫に関する指導を行っておくのも良いでしょう。例えば、両親に内緒で猫の世話をしてはいけないであったり、猫は洗濯機では洗えないといったことなどを教えておきましょう。
洗濯機を使用する際には必ず猫をチェック
当たり前のことですが、洗濯機を使用する際には猫が中に入っていないかしっかりとチェックしましょう。特に、ドラム式洗濯機の場合は猫が入りやすい仕組みになっているため、入念にチェックをしましょう。子猫を飼っている場合には、猫が服の中に隠れているのを見逃す場合がありますので気をつけてください。
洗剤や柔軟剤の保管場所にも注意
洗濯洗剤や柔軟剤の中には、その容器の外観やニオイが猫の興味を引きつけることがあります。もし、猫が洗剤や柔軟剤の容器をひっくり返し、それらの化学物質を口にすると、化学損傷が体内で起こってしまいます。必ず猫の手が届かない範囲に洗濯洗剤や柔軟剤を保管しておくようにしましょう。
まとめ
猫を洗濯機に入れ、洗濯機を動かすことは猫の命に関わる事態に発展します。そして、大人が注意をしていたとしても、子供が注意をしているとは限りません。そのため、子供に対する猫の教育を行うとともに、大人がしっかりと管理を行うことも重要です。
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参考文献
Stewart SA, Gaunt MC, Taylor SM, Snead ECR. Accidental entrapment of cats in front-loading washing machines. The Canadian Veterinary Journal. 2010;51(9):1003-1006.
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