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保護猫活動に加わる精神的負荷

2017年9月23日

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保護猫活動に加わる精神的負荷

保護猫活動を行っている人は、保護した猫に起こる出来事に対して心的なダメージを受けることが多くなります。後述しますが、アメリカでは動物の保護や福祉に関わる仕事を行う人は、警察官や消防士などの心的外傷後ストレスPTSDになりやすい職種と同じ高さの自殺率になっています1)。この記事では猫を含めた動物保護活動を行う上で加わる精神的負荷について紹介していきます。

 

 

目次

  • 1 動物保護活動には精神的負荷がかかる
  • 2 共感性疲労
  • 3 それぞれの対処の仕方
  • 4 まとめ

動物保護活動には精神的負荷がかかる

2015年にアメリカで行われた研究では、動物の保護や福祉に関わる仕事を行う人たちは100万人につき5.3人もの人が自殺をするということを報告しています1)。一般的な職業では100万人につき1.5人程度であるため、自殺率がかなり高いということがわかります。

 

その多くの精神的負担は殺処分によるものが大きいということも分かっており、殺処分に関連するような仕事を行っている人では様々な精神的な対処法を取っていることも知られています2)。

 

無論、殺処分に直接的に関連していない人でも殺処分を決意する際には多大なストレスが加わること考えられます。保護した・保護している動物の健康状態などが悪い時にもストレスを感じると思います。さらには、一般の方たちの動物保護に対する意識の低さや保護活動に対する批判的な考えなどもストレスになります(Psychology Today)。

 

保護猫活動に加わる精神的負荷
動物の保護に関する職業と消防士の自殺率はほとんど同じであり、極めて自殺率が高い。

 

共感性疲労

動物の殺処分や保護活動に対する無力感、他人からの批判などに起因する精神的負荷が積み重なると、Compassion Fatigue 共感性疲労もしくは共感疲労、共感性疲弊という状態に陥ってしまいます。

 

この共感性疲労は二次的外傷性ストレス障害Secondary Traumatic Stress Disorder; STSDとも呼ばれ、心的外傷後ストレス障害PTSDと似たような抑うつ症状や自殺願望、孤立感などが観察されるようになります(Compassionfatique.org)。また、薬物乱用なども観察されることもあります。

 

それぞれの対処の仕方

先ほど紹介した研究では、242人のシェルタースタッフを対象に殺処分時に加わるストレスに対してどのような対処をしているのかというアンケートをとっています2)。

 

その結果、最も多かった対処の仕方は素直に感情を表したり、気持ちを他人に話すという方法で、15.7%の人がそのような対処法を行っていました。2番目に多かったのは、保護した動物に個人的な特別な感情を抱きすぎないというもので、15.3%が回答しています。

 

保護猫活動に加わる精神的負荷
保護された動物に対して特別な感情を抱かないように努力するが、それによりケアの質が落ちないようにする必要がある。とはいえ、動物の世話をしていると、特別な感情を抱くことが少なくない。

 

そして、3番目に多かったのが、殺処分を肯定しようと努力するというもので、14.1%の人が回答しています。この殺処分の肯定とは、例えば、捨てられて、野良猫になってしまうよりかは安楽死の方がましかもしれない、車にはねられるよりかは安楽死の方が良いかもしれないと考えようとすることになります。

 

その他にも23項目の対処法が回答されており、この研究は多くのシェルタースタッフが精神的負荷を抱え、独自の様々な方法で対処をしているということを示しています。

 

まとめ

動物保護活動を行うことで、かなりの精神的負荷がかかることが予測されます。特に殺処分に関わる人ではそのストレスは多大なものになり、共感性疲労の状態になってしまい、自殺に追い込まれてしまうこともあります。

 

人それぞれの対処法があるようですが、どの方法が効果的なのかについてはわかっていません。そして、その高い自殺率などを考えると個人で対処するには限界があるのかもしれません。

 

共感性疲労の周知を行っているCompassion Fatigue Awareness Project©は、まずは症状を認識・管理することを学習することが治療の第一歩だとしており、共感性疲労に関する教育の必要性を説いています。そして、あまりにも自分の精神的なケアを忘れ、動物をケアに注力しすぎると共感性疲労に陥りやすいともしています。

 

殺処分がゼロになれば、保護猫活動に関わる共感性疲労もほとんどなくなると思いますが、今のところはそうではありません。もし、保護猫活動を行っている人やこれから行おうとしている人は必ず、共感性疲労についての正しい知識を身につける必要があります。また、周囲の人たちも保護猫活動を行っている人の精神状態を理解し、行動の変化などにいち早く気づいてあげることが重要だと思います。最後に、動物愛護週間には動物のことはもちろん、保護活動をされている人たちについても考える必要があるのではないでしょうか。

 

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参考文献

1) Tiesman HM, Konda S, Hartley D, Chaumont Menéndez C, Ridenour M, Hendricks S. Suicide in U.S. Workplaces, 2003-2010: a comparison with non-workplace suicides. Am J Prev Med( 2015), 48(6):674-82. doi: 10.1016/j.amepre.2014.12.011. Epub 2015 Mar 17.

2) Baran BE, Allen JA, Rogelberg SG, Spitzmüller C, Digiacomo NA, Webb JB, Carter NT, Clark OL, Teeter LA, Walker AG. Euthanasia-related strain and coping strategies in animal shelter employees. J Am Vet Med Assoc(2009), 235(1):83-8. doi: 10.2460/javma.235.1.83.

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