美しい、純潔種の猫はブリーダー経由で入手されることが多いです。しかし、多くの人は、ブリーダーの質を気にせず、猫種のみを考慮して購入することが多いのも事実です。本当に、そのブリーダーで良いのでしょうか?
著者の愛猫は、家に迎い入れた時から寄生虫を宿しており、莫大な治療費がかかりました。また、社交性もあまりなかったため、猫や人間との間に関係性を築くのに苦労しました。これらの原因は、明らかにブリーダーにあります。
猫を飼うということは、その愛猫と約15年以上も一緒に暮らさないといけないということです。もちろん、返品も交換もありません。適切なブリーダーを選択することは、猫と飼い主のストレスや捨て猫の減少につながるため、たいへん重要です。では、どのようなことに気をつけてブリーダーを選択すれば良いのでしょうか?
猫のブリーダーの種類
ブリーダーには、プロブリーダー、アマチュアブリーダー、悪質ブリーダーの3種類が存在します(もちろん、正式名称ではありません)。
プロブリーダー
プロブリーダーは、特定の猫種の血統を保存しようとしており、病気が少なく、かつその血統特有の特徴をもっている猫を選択して交配をしていきます(遺伝的選択)。結果として、美しい猫が生まれるため、度々キャットショーに出場することが多いようです。プロブリーダーの多くは、1~2種類の猫を数多く飼育しており、中には自宅とは別に、専用のキャッテリーを持っていることもあります。
プロブリーダーは特定の猫種を保存することに主眼を置いていることが多いため、食べ物や健康にかなりのお金をかけて、猫を育てています。プロブリーダーの猫は、その手間のために高価になることが多く、購入した後も連絡を取り合い、猫の近況を報告することが必要な場合があります。
アマチュアブリーダー
アマチュアブリーダーは、趣味で猫を交配しています。知識レベルは様々であり、ブリーダーの良し悪しを見極める必要があります。中には、プロブリーダーレベルの知識を持ち、遺伝的選択をおこなっている人もいますし、素人同然の知識で交配をおこなっている方もいます。
プロブリーダーと異なるところは、家には数匹の親猫と仔猫しかいないというところです。アマチュアブリーダーの猫はプロブリーダーの猫よりも安価であることが多いです。
悪質ブリーダー
誰もが取引したくないのが、悪質ブリーダーでしょう。悪質ブリーダーは、お金を稼ぐことを最優先としており、猫の健康などを全く考えずに、極めて劣悪な環境(狭いケージなど)で、猫を飼育しています。そして、たくさんの高価な猫種を交配させており、他の健全なブリーダーとは異なり、かなり多くの種類の猫を繁殖させています。
悪質ブリーダーの猫の値段はピンキリであり、その見た目や珍しさの影響を受けます。中にはキャットショーなどでチャンピオンになった猫をもとに、仔猫を繁殖させ、高値で売るブリーダーもいます。絶対に悪徳ブリーダーから猫を引き取ることはせず、廃業に追いやらなければなりません。そうでないと、親猫に負担がかかるとともに、望まれない不健康な仔猫が増え続けます。
猫のブリーダー訪問
ブリーダーと話をしよう
実際に、猫をブリーダーから入手する時には、必ずブリーダーを訪問し、猫と面会しましょう。そうすることで、ブリーダーの種類を見極め、悪質ブリーダーとの取引を避けることができます。まともなブリーダーであれば、訪問を歓迎してくれるはずです。遠方過ぎて気軽に訪問できない場合などは、必ず電話でブリーダーと話しましょう。
そして、必ずブリーダーに以下の項目にある質問をしましょう。もし、これらの質問に答えない、もしくは答えられない場合は、そのブリーダーとの取引を中止することを強くお勧めします。
猫のブリーダーの衛生管理
衛生状態の確認により、寄生虫などの感染症にかかる危険性が把握できます。また、これらの質問の答えにより、ブリーダーの知識の深さも分かります。
Q1. トイレの個数は?
– A. 猫の数+1個
Q2. トイレは1日に何回掃除しますか?
– A. 最低2回以上、多ければ多いほど良いです。
Q3. 猫砂の交換頻度は?
– A. 1, 2週間に1回交換し、トイレは塩素で洗浄していることが望ましい。
Q4. 飼養場所の臭いは?
– A. 当然、臭くないことが必須です。
猫のブリーダーが飼っている猫の健康状態
仔猫だけでなく、親猫の健康状態を聞くことが重要になります。これらの質問で、仔猫が将来かかりやすい病気、寄生虫の有無などが予測できます。例えば、親猫の家系で遺伝病などにかかっている猫がいれば、仔猫もその病気にかかりやすくなります。また、親猫が寄生虫に感染している場合は、高確率で仔猫にも感染してしまいます。
Q1. 親猫と仔猫はどのようなものを食べていますか?
– A. ジェネリックキャットフードのような安い餌を与えず、親猫と仔猫のステージに合った餌を与えている必要があります。
Q2. 親猫の家系に認められた病気はありますか?
– A. 正確な既往歴を教えてもらう必要があります。
Q3. 親猫を獣医に連れて行く頻度はどのぐらいですか?
– A. 多い方が好ましいが、定期的に健康診断をおこなっている必要があります。
Q4. 親猫と仔猫にワクチン接種をおこなっていますか?
– A. 証明書をみせてもらうことが望ましい。
Q5. 親猫と仔猫に寄生虫検査・駆除をおこなっていますか?
– A. 検査結果(リアルタイムPCRの結果)をみせてもらうことが望ましい。
猫のブリーダーの飼養環境
適切な環境で飼われていない猫は、ストレスによる問題行動や病気が現れます。また、環境は仔猫の正常発達に、最も影響を与えるため、適切な環境が必須になります。
Q1. どのようなおもちゃで遊んでいますか?
– A. 遊べるおもちゃの種類が多い方が良いです。
Q2. キャットタワーなどの高い場所はありますか?
– A. 上下運動ができる環境が必須です。
Q3. ケージで飼われていますか?
– A. 広いケージ、もしくは広いスペースで飼われていることが重要です。
猫のブリーダーが飼っている猫の社会性
仔猫を選ぶ上で、最も重要な項目です。猫の社会性を表すものとして、Boldness(図太さ、大胆さ、寛容さ)があります。このBoldnessが高い猫ほど社交的であり、血縁関係のない猫、人間、他の動物と仲良くやっていけます。そして、何よりもストレスに強く、神経質ではないため、扱いやすい猫といえます。
Boldnessは、生後2~7週間で決定されてしまうため、ブリーダーがどのような環境に仔猫を置くかが重要になってきます。
Q1. 仔猫は、親猫と兄弟猫、姉妹猫と一緒に飼われていますか?別々ですか?
– A. 仔猫は親猫と兄弟猫、姉妹猫と一緒に飼われていなければなりません。
Q2. 兄弟猫や姉妹猫とどのように過ごしていますか?
– A. 兄弟猫や姉妹猫と一緒に遊ぶことができる環境でないといけません。
Q3. どのような人と交流していますか?
– A. 飼い主だけなく、様々な性別、年齢の人と交流していることが望ましい。
Q4. 他の動物とも交流がありますか?
– A. 他の動物と交流していることが望ましい。
Q5. 仔猫の父猫は社交的ですか?
– A. 父猫の社交性が最も反映されるため、父猫は社交的であることが望ましい。
まとめ
- 多くの猫は仔猫の時(生後2~7週)の経験が重要となるため、適切なブリーダーを選択しなければならない。
- 猫を引き取る時には、必ずブリーダーを訪問する必要がある。
- 質問をブリーダーにおこない、ブリーダーの質を見極めることが重要である。
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