世界的に有名なニューヨーク・タイムズ誌が猫の「ヒゲ疲れ」についての記事を公開して以来、「ヒゲ疲れ」という言葉が猫の飼い主の中で徐々に浸透しつつあります。では、猫のヒゲ疲れとは具体的にどういった現象で何が原因なのでしょうか?今回の記事では猫のヒゲ疲れについて解説していきます。
猫の食事中にこんな行動が観察されませんか?
猫がお皿に盛られた餌を食べている際に、次のような行動が観察される場合には、「ヒゲ疲れ」が起こっている可能性があります。ただし、以下の行動はその他の病気においても観察されるため、以下の行動が観察されたからといって必ずしも「ヒゲ疲れ」が起こっているということを断定することはできません。
- お皿の縁にキャットフードが残ってしまう
- お腹が減っているにも関わらず、餌を残してしまう
- キャットフードがたくさん盛られている時のみキャットフードを食べる
- お皿の中に手を入れて、キャットフードを掻きだし、地面に落ちたキャットフードを食べる
- キャットフードを食べる前にお皿の前に座ったり、歩き回ったりして食べるのをためらう
- キャットフードを食べている際に、他の猫や人間に攻撃的になる
上記の行動が観察された場合には、ヒゲ疲れ解消用のお皿を使用し、行動が変わるかを観察してみましょう。もし、行動が変わらないのであれば、病気が原因かもしれません。
ヒゲ疲れとは
「ヒゲ疲れ」とは英語で”Whisker Fatigue”と言いますが、「ヒゲストレス Whisker Stress」とも呼ばれます。ヒゲ疲れは猫の頬のヒゲが絶えず刺激されることで起こります。猫のヒゲは通常の被毛と比較して2倍以上の直径を持ち、その根元は3倍も深いところに埋もれています。そして、根元の部分には感覚器が付着しており、ヒゲが折れ曲がった角度や速度などの情報を脳に伝えています。
猫はそのヒゲの情報を脳内で解析し、その情報に基づき様々な行動を行います。例えば、ヒゲからの情報により、捕まえた獲物が逃げることを防ぎ、暗闇でも障害物に当たらず移動が行うことができます。このように、ヒゲは猫において非常に重要かつ敏感な感覚器と言えます。
そのため、猫がお皿に載っているキャットフードを食べる際に、絶えずヒゲがお皿の縁などに刺激される場合には、ヒゲの感覚情報が脳に入り過ぎ、猫にとってストレスになります。これがヒゲ疲れの原因になると考えられています。
こういった原因を考えると、ヒゲ疲れという名前よりもヒゲストレスという名前の方が適当なのかもしれません。
ヒゲ疲れの対処方法
では、ヒゲ疲れが起こった際にはどのように対処したら良いのでしょうか?ヒゲ疲れを解消するにはキャットフードのお皿を浅いお皿に変えることが最も効果的です。最近ではヒゲ疲れを解消するための猫用のお皿が多く販売されているため、それらを試してみると良いでしょう。猫のヒゲのつき方などによって、どの猫用のお皿が最も適切なのかは変わってくるため、様々なお皿を試してみてください。
もし、いくつものお皿を試しても行動が変わらないという場合には、猫を動物病院に連れて行き、診察してもらったほうが良いかもしれません。ヒゲ疲れ以外の病気が考えられます。
まとめ
ヒゲ疲れについて解説してきましたが、ヒゲ疲れについてしっかりとした科学的研究がおこなわれているわけではなく、その原因についても推測でしかありません。そのため、ヒゲ疲れという概念そのものについて懐疑的な獣医師もいます。今後、研究が望まれる分野だと思います。
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参考文献
Whisker Fatigue in Cats: What it is and How to Help
whisker fatigue in cats: how you can help
CATS 101: WHAT IS WHISKER FATIGUE?
Feline Food Issues? ‘Whisker Fatigue’ May Be to Blame
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