猫が好きな植物といえば、「マタタビ」とすぐ出てくるでしょう。日本や中国、韓国では猫といえばマタタビというのが当たり前のようです。一方、欧米では猫といえば「キャットニップ」が一般的です。
猫を飼っている人の多くがそれらのマタタビやキャットニップを一度は試したことがあると思いますが、その正しい使い方を知っている人は少ないです。特にキャットニップに関しては欧米のものということもあり、その傾向が強いです。
マタタビ
マタタビは植物であり、英語で「Silver Vine」といいます。学名は「Actinide polygamy」です。主に日本や朝鮮半島などで成育しているため、アジアでは広く猫と「マタタビ」ということが定着しました。マタタビにはアクチニジンやマタタビラクトンと呼ばれる化学物質が含まれており、これらを猫が鼻から吸い込む(匂いを嗅ぐ)と、特有の反応が観察されるようになります。
反応
よく観察される反応は背中を床につけてクネクネしたり、床に転がったりする行動です。またヨダレを垂らしたりもします。こう言った行動は発情期の猫の行動に似ているため恍惚感に溢れていると考えられています。こういった行動だけでなく、極度に怒ったりする場合もあり、その反応は多岐に及びます。この理由はマタタビが猫の中枢神経系(脳など)に影響を及ぼしているからなのです。ライオンなどネコ科の大型動物でも同様にマタタビの臭気に特有の反応を示します。

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キャットニップ
キャットニップはハーブ系の植物であり、日本語では「イヌハッカ」といいます。学名は「Nepeta cataria」です。キャットニップにはNepetalactone ネペタラクトンと呼ばれる化学物質が含まれており、これを猫が吸い込むと、脳の扁桃体や視床下部に影響を及ぼします。キャットニップについては「キャットニップのすべて」の記事で詳しく紹介しています。
効果
視床下部の下垂体が活性化されると、ホルモンが分泌されるために、性的な行動が観察されるようになります。また、扁桃体は情動の様々な側面を制御しているので猫の情動行動に強く影響を与え、マタタビと同様に様々な反応が誘発されます(例えば、興奮したり、怒ったりします)。
遺伝
約1/3の猫はキャットニップに反応する遺伝子を持っていないため、全くもって興味を示しません。興味を示す猫でもキャットニップを嗅ぎすぎるとその効果がなくなってしまいます。

マタタビとキャットニップの違い
マタタビの方が効果が強い
マタタビの方がその効力が強いと言われています。その理由については明確には知られていませんが、マタタビの方が中枢神経系に作用する様々な化学物質を含んでいるからではないかと言われています。
イリノイ大学のDr. Mark Mitchellらが行った研究によると、マタタビとキャットニップを振りかけた爪とぎを猫の前に置いたところ、猫はマタタビを振りかけた爪とぎによく反応を示したそうです1)。
持続時間は同じ
効果の持続時間については文献によって差があるため(おそらく猫の個体差による)、比較できませんが、両者とも10~15分ぐらいだと言われています。ただし、キャットニップを振りかけたおもちゃよりもマタタビを振りかけたおもちゃの方が2.5倍も長く遊ぶようになったということも報告されています2)。
マタタビの大量摂取には注意
猫には魅力的なマタタビですが、大量に摂取すると呼吸困難や心停止などを誘発する危険性があります。そのため、マタタビは常に猫の手が届かないところに保管しておきましょう。また、使用する際には耳かき1杯程度にしましょう。マタタビの粉ではなく、葉っぱや茎の部分などを使用する際には、食べることで窒息する可能性もあるので気を付けましょう。
キャットニップに関しては効力が弱いせいか、緊急事態になるという事例はあまり聞いたことはありません。
参考文献
1) http://www.felinesilvervine.com/faqs.html
2) http://www.felinesilvervine.com
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