飼い主の多くは飼い猫の性格を知りたいと思うはずです。しかし、猫にはどのような性格があるのか分からないために飼い猫の性格がイマイチ分からないと思っている方も多いのではないでしょうか?
そもそも、猫にも人間と同じような性格が当てはまるのでしょうか?実は、猫の性格については大規模な調査が行われたことがないため、科学的な証明があまりされていないのが現状です。
そんな中、オーストラリアLa Trobe大学の研究チームが約400人の猫の飼い主に質問紙に回答してもらい、統計学的解析を行うことで猫の性格を調べました。この研究は2017年2月27日にBehavioural Processes誌にて発表されています(有料です)。
猫の性格を最も表す形容詞
400人の飼い主に飼い猫の性格を聞いた際に返ってくる答えは様々です。なぜなら各個人でその猫の性格を言い表す形容詞が異なるからです。
そのため、この研究ではまず猫のエキスパートを集め、猫の性格を表すような形容詞を片っ端からあげ、その中から言い回しがくどいものや不適切なものを削除し、最もよく猫の性格を表す形容詞を絞りました。
面白いのはこの形容詞を片っ端からあげる作業では、人間の性格を診断する「性格特性5因子モデル」が開発される際に使用された形容詞が参照されていることです。こうすることで質問に答える方が猫の性格をより正確に答えやすくなりますよね。その反面、猫の性格がやや人間らしい性格に解釈されてしまうというデメリットもありますが・・・。
性格診断
約400人の猫の飼い主に質問紙を配り、飼い猫1匹だけについて記載してもらいました。多頭飼いの家庭では最も理解できている猫を1匹選んでもらっています。質問紙には猫の性格を訪ねる形容詞が100個以上記載されており、それに当てはまるかどうかを5段階で答えてもらいました。
それらの回答を統計学的に解析すると、猫の性格を説明する6つの性格が浮かび上がってきました。
Playfulness 活発
遊ぶのが好きな猫、活動的な猫、機敏に動いているような猫は活発な性格に当てはまります。
Nervousness 神経質
臆病な猫、用心深い猫、神経質な傾向がある場合にはこの性格にあたります。
Amiability 友好的
協調的な猫、平和的な猫、思いやりのある猫、愛想があるような猫は友好的な性格に当てはまります。人間でいうと「感じの良さ」にあたります。
Dominance 支配的
縄張り意識が強う猫や、ひとりでいることを好む猫、傍若無人にふるまう猫は支配的な性格に当てはまります。
Demandingness 要求的
何かを求めて執拗に鳴く猫や、頑固な猫、愛情を求める猫などは要求的な性格が当てはまります。活動的な性格をしている猫ではこの要求的な性格になる傾向があるようです
Gullibility おちゃめさ
日本語でGullibilityを直訳すると「騙されやすさ」になるようですが、研究者らの話を聞いていると「おちゃめ」という言葉がしっくりくるような気がしますのでこの記事では「おちゃめな性格」ということにします。動きが鈍い猫や不器用な猫、当惑することが多い猫、バカなことをする猫はこれにあたります。
バカなことをする猫の動画はすぐに拡散しますが、そういった行動などをよくする場合には「おちゃめな性格」ということになります。時代背景がかなり反映されているような性格ですよね。そのことについては研究者らも考察にて述べています。
まとめ
最新の研究によると猫には上記6つの性格があるそうです。しかしながら、統計学的手法の限界や先行研究などを踏まえると上記のうち活動性、神経質、友好的、支配的などに関しては猫の性格としてありえそうです。Gullibility おちゃめ度に関しては謎です。
おそらく、飼い主の主観が混じってくることで人間の性格により近くなってしまい、おちゃめ度のような人間らしい指標ができてしまったのでしょう。
この論文では飼い主にはその猫との結びつきの強さや猫の厄介度などについても5段階で回答していもらっており、どういった性格の猫が飼い主との結びつきが強いのかなども調べています。また、猫の性別や年齢による性格の違いなどについても調べています。
気になる方は原著論文を読まれてはいかがでしょうか?
あわせて読みたい
原著論文
Bennett P, , Rutter N, Woodhead J, Howell T. Assessment of domestic cat personality, as perceived by 416 owners, suggests six dimensions. 2017, doi.org/10.1016/j.beproc.2017.02.020.
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