結婚したものの、性格の不一致などを理由に離婚するケースは珍しくありません。夫婦に子供がいた場合、離婚した後の養育費や親権などに関する法律や子供の心のケアは近年かなりフォローが充実してきたように思います。 しかし、一緒に飼っていたペットについては、なかなかケアや配慮が行き届いていないのが現状です。
今回は、そんな離婚した時のペット事情について考えてみます。
猫と犬はどうする??
お互いのことが顔も見たくないくらいに嫌いになっても、可愛がっていた猫や犬を手放したくないと思う飼い主は多いと思います(時々、元恋人(パートナー)を思い出すから嫌だという人も聞きますが・・・)。
こういった場合、海外ではペットを週ごとにお互いの家で交互に飼うということも珍しくはないようです。筆者は少なくともこういった飼い方をしている人を日本ではあまり聞いたことがありません。
猫と犬への影響は?
果たしてこのような飼い方はペットにとってはどういった影響を与えるのでしょうか?また、日本では一般的のように思いますが、どちらかがメインの飼い主となり、元パートナーが時々遊びに来て可愛がるといった飼い方の方がやはり良いのでしょうか??
これらの疑問についてノルウェーの動物福祉に関する研究者であり専門家であるCecilie Mejdell氏が答えています1)。
犬は猫よりも適応しやすい!?
Mejdell氏 は各週ごとに家を変えるスタイルの飼い方への適応は犬と猫では根本的に異なってくると述べています。
猫は「環境」、犬は「人」がすべて
一般的に猫は「環境」に、犬は「人」に愛着を持つといわれます。幼少の頃、筆者の近所の家がアメリカンショートヘアを飼っていたのですが、ある時引っ越しをしました。2〜3日後になぜか、その猫ちゃんが元の家に戻ってきていて、連れ戻されては戻ってくるということを何度か繰り返していたことをよく覚えています(飼い主の新居への導入の仕方にも問題があったのかもしれません)。
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大好きな人が一緒なら
犬は信頼する人、飼い主といることが最優先事項です。このことから考えても、信頼する人がそばにいれば、犬は場所の変化に対しては、随分と適応しやすいようです(もちろん、1つの家で安定して暮らしていた方が落ち着くのは言うまでもありませんが。)。特に好奇心旺盛な成犬であれば、ストレス負荷はそこまで高くはならないようです。
環境がコロコロ変わるのはちょっと・・
一方、猫が環境の変化に敏感であることはこれまでにも紹介してきました。「人」も猫にとっては、自分の環境を構成する要素です。「人」の環境が変わり、「場所」の環境も変わるという状態が続くというのは、猫にとってはこの上ないストレスになります。
猫はどちらかの家で飼うのが理想
多くの飼い主は、飼っている猫や犬と過ごす時間があります。猫も犬も飼い主と過ごす時間は楽しいものであり、安心できる時間でもあります。
先ほど、犬は環境の変化には強いと言いましたが、やはり犬がよく懐いているどちらか一方の家でずっと飼っておくのが理想です。しかし、そうなった場合は離婚する前つまり2人で住んでいた時よりも、相対的に一緒に過ごしてもらえる時間が少なくなります。
一緒にいてあげる時間は確保!
犬はもともと、群れで生活する動物ですから、一人でいる時間が長いとストレスがかなり溜まります。
したがって、接してあげられる時間が少なくなるようならば2つ家を行き来した方が良いかもしれません(スウェーデンでは犬を6時間以上、家に一人にしておいてはいけないという法律があるようです!驚きです)。
お留守番上手?
対して、猫はそこまで人と一緒にいることを必要としてはいません。もちろん、毎日遊んであげることは必要ですが、一人の時間を上手に過ごすことに関しては猫の方が長けているといえるでしょう。このことからも、猫はどちら一方の家で暮らした方が良いでしょう。
ペットシッター
猫も犬も、離婚後にどちらかが引き取ることで世話をしてあげられる時間が極端に少なくなってしまうのであれば、ペットシッターを利用するのが良いでしょう。良いペットシッターに来てもらえれば、「遊んでももらえない、寂しい」というストレスはかなり抑えることができます。
猫と犬も悲しい?
いずれにせよ、離婚によってペットの生活は大きく影響を受けることになります。人間の子供と同じように、猫や犬も離婚により環境の変化に対して何らかの反応を見せます。場合によっては、普段しないような排泄の失敗や食欲不振などの行動の問題を見せることもあります。
飼い主の感情の影響
離婚ということになれば、単純に物理的環境や人の環境が変わること以上に猫や犬にストレスを与えることがあります。
それは、飼い主の「心の不安定さ」です。やはり、離婚するとなれば、不安になったり、悲しくなったり、怒りが湧いていたりと、普段とは違う心持ちになっていると思います。ペットはこういった心情の変化に敏感です。飼い主が楽しそうにしていれば自分も楽しく思うように、悲しそうだったり、怒っていたりすれば、自分も落ち着かないのです。
まとめ
家庭環境の不和は、ペットにも影響を与えてしまっているということを覚えておいて下さい。お互いが離れて暮らすことを決めた場合は、猫や犬のこともしっかり考えてあげてくださいね。
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参考文献
1) Does it harm animals to have two homes after a divorce?
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