猫を飼っている人なら、一度はこんなことを聞いたことがあるのではないでしょうか?
“犬は飼い主のことを気にするけど、猫は飼い主のことなんて気にしてへんわ。”
どうも、猫ちゃんは「自立」しているイメージが強いようですね。ではそのイメージは本当なのでしょうか?
猫の飼い主の声に対する反応
猫の行動に関する実験
そこで、東京大学の研究チームが、20匹の家猫を対象にある実験を行いました。 実験場所はそれぞれの猫が実際に住んでいる家です。 飼い主が猫のいる部屋から見えなくなるように、姿を消します。
そして、飼い主と見知らぬ人2人の合わせて3人が 少し間をおいて、順番に猫の名前を呼びます。その時の、猫の様子を設置しておいたビデオカメラで撮影し、 研究者たちは名前を呼ばれた時の猫の反応を、しっぽや頭の動き、鳴き声、目の見開き方、体幹の移動などの観点から分析しました。
猫は見知らぬ人の声に興味津々
名前を呼ばれると当然、猫は声のした方へと頭や耳を動かしたり、そちらの方へと近づいて行ったりする行動を見せました。 そしてその反応というのが、飼い主が名前を読んだ時よりも、他の接点のない見知らぬ人が名前を読んだ時の方が、上記のような体の動きがよく見られるという結果になりました。
つまり、猫は見知らぬ人に興味を示すのです。
猫は懐かないのか?
呼んでも反応してくれない?それじゃあ、何だか猫ってやっぱりないついてくれないの??と思うかもしれません。 そういうことではないのです。
「飼い主が名前を呼んでも反応が薄い=なついていない」と一見考えてしまいがちですが、実はそうではないのです。
飼い主に対する安心感
猫の飼い主に対する反応性が希薄であるという事実は良いことではないでしょうか。 猫は環境に依存し、その環境が維持されていることが重要なのです。そのため、反応性が低いということは、飼い主を環境の一部と認識しており、信頼し、安心しているということの裏返しなのです。
想像してみてください。あなたがいつも通り自分の家でゴロゴロしてると、誰かに名前を呼ばれます。 自分の知っている人、例えば兄弟や両親などから名前を呼ばれたら、寝っころがったまま「はーい」とでも返事をするでしょう。 でも、全く聞き覚えのない声がしたらどうしますか? 自分の家で、知らない人の声で自分の名前を呼ばれるんですよ??どう考えても、怖くなって、体を起こしたり、声のする方の様子を伺いたくなりますよね。
だから、一概に反応が薄いからといって飼い主に対する愛情が薄いというわけではないのです。
愛情表現の仕方はそれぞれ
みなさんもご自身の飼っている猫から、「大好きだよ〜」というサインをたくさんもらっていると思います。多くの飼い主はそれに気づいていないのかもしれません。 愛猫家のみなさんは、どう思われますか??
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A Saito, K Shinozuka . Vocal recognition of owners by domestic cats (Felis catus). Animal cognition, Springer 2013
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