脱水症状とは、体の中の水分と電解質(ミネラル)の不均衡が起きている状態で、人間同様に深刻な合併症を引き起こします。体内環境を正常に保ち、排泄や汗などで定期的に体内から失われる水分を補うのに水が必須なのは、全ての生物に共通することです。人と同じように、猫の体の80%は水分でできており、循環や消化、排泄などにあげられる生理現象に水は必須です。
目次
何が原因で脱水症状は起こる??
単純に、水分が正常レベルよりも低下した状態が脱水状態です。これは、水分の摂取量が減った、もしくは流出量が増えたかのどちらかです。暑い日の過度な体温上昇や、活動量の増加、嘔吐、下痢などは全て水分の喪失につながる可能性があります。
渇きに鈍感!?
猫ちゃんがごくごく水を飲んでいるのをあまり見たことのないという飼い主も多く、水分の喪失にあまり敏感ではないのかな?と思っている方も多いのではないでしょうか?
なんと、猫ちゃんは体内の水分保持量の8%を失っても、水分を摂取しない場合があるとも言われます。ちなみに人間の場合だと、体内の水分が2%失われるとのどの渇きを感じ、運動能力が低下しはじめます。3%失われると、強いのどの渇き、食欲不振などの症状がおこり、4~5%になると、疲労感や頭痛、めまいなどが起こってきます。そして、8%までくると痙攣などがあらわれ、10%以上になると、死にいたることもあります。
このことから考えても、猫が新鮮な水をいつでも飲めるような環境を整えておくことは、まず最低限しておかなければならないことです。
どのくらいの水分摂取量が必要なの?
必要な水分量
猫の運動量(カロリー消費)が多く、老廃物をより生産している個体に関しては、体温を保つためにより多くの水が必要になります。一般的に、成ネコはおおよそ、1日に摂取するカロリー(kcal)と同じ量の水分(mL)を摂取することが望ましいと言われます。したがって、例えば1日の摂取カロリーが400kcalであれば水分の摂取量は400mL必要という計算になります。
食事から摂取できる水分量は?
ドライキャットフードには7%〜12%の水分が含まれている一方で、缶詰のキャットフードは最高で80%が水分となります。したがって、ドライフードだけを食べている猫はウェットフードを食べている猫と比べて食べ物から得られる水分量は少なくなるわけですから、綺麗な飲み水をいつでも飲める環境を一層しっかりと整えておく必要があります。
猫の一般的な脱水症状は??
- 凹目(くぼ目)
- 倦怠感
- 食欲減退
- 口渇
- 抑うつ
- 心拍の上昇
- 皮膚の伸張性の低下
- 動悸・息切れ
脱水症状なのかな・・・??
脱水症状はそれ自体というよりも、その他の問題(疾患)が原因としてなることも多いように思われます。
脱水症状のサイン?
脱水症状が疑われる場合は、いずれにせよ、早く獣医に見せることが賢明です。猫の首の後ろの部分の皮膚や肩の間の皮膚を引っ張ると、正常であればすぐに元の状態に戻ります(よっぽど太っているか痩せていない限りどの個体でも行うことは可能です)。脱水状態にある場合、皮膚はすぐには元の状態には戻りません。
とにかく獣医へ!
猫の脱水状態は一見分かりにくく、前述した方法が脱水状態を見つけるのにいくらか役立つかもしれません。とにかく、暑いところにいた、他の疾患があるなど脱水が疑われる場合は、獣医に見せて、適切な診断と治療を行ってもらうことが一番です。考えている間に手遅れになってしまっては元も子もないですからね。
こんな猫ちゃんは要注意!
脱水症状のリスクが最も高いのは、腎臓病や癌、甲状腺機能亢進症などの疾患を患っている猫です。体調管理がしっかりと出来ていない糖尿病の猫もまた気を付けなければなりません。高齢の猫や育児中の猫もまた脱水に陥りやすいと言われます。
どのような治療がされるの?
まず、皮下もしく静脈点滴による水分補給を行います。必要に応じて、原因となっている疾患がないかなどの検査を行うでしょう。
脱水症状を防ぐには?
- いつでも綺麗な水をあげておきましょう。そして、頻繁に水を変えて新鮮な状態にしておきます。水を入れる容器は洗わないとバクテリアが繁殖するので、水を入れ替えるだけでなく、しっかり容器を洗うことも忘れないでください。
- 自分の猫の好きな水の飲み方を見つけましょう!せっかく綺麗な水を用意していても、飲んでくれなくては意味がありません。ボウルタイプが好きな猫もいれば、給水瓶タイプやペットショップでよく見かける噴水タイプなどを好む猫もいます。どのタイプが好きなのかを試してみて、一番猫が積極的に水を飲むタイプのものを置くようにしましょう。
- 下痢や嘔吐の状態から回復しつつある時は、氷を舐めさせて、その後少量の水を一定間隔で与えましょう。こうすることで、急激な脱水状態に陥ることを防ぐことができます。
- 移動中はストレスも相まって、吐き気や嘔吐を引き起こしやすくなるのですが、案外配慮できている飼い主は少ないものです。移動中の水分摂取も考えてあげましょう。
- 猫の水分摂取の様子を観察しましょう。もし、いつもと水分摂取量が極端に異なる場合(多い時も少ない時もどちらも)は、悪化する前に獣医にかかった方が良いでしょう。
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