猫用のルームランナーを使用すれば、もちろん使用中は猫の活動性は高まります。しかし、猫用のルームランナーを使用していない時でも猫の活動性を高めるのでしょうか?
日本ではあまり猫用のルームランナーが流通していないため、あまりお目にかかることはありませんが、海外ではネット広告などに猫用ルームランナーが掲載されていることが多く、意外と有名な商品です。米国アマゾンでは$199(約22,000円)という絶妙な値段で販売されています。これが実際の写真です。
では、上記のような猫用ルームランナーを使用することで、1日の活動性が増加するのでしょうか?もし、増加するのであれば猫用ルームランナーは肥満や糖尿病などに有効であるかもしれません。
猫用ルームランナーは猫の活動性に影響を与えるのか
2017年に5月にJournal of Nutritional Scienceにて発表された研究では、8匹の去勢済みのオス猫と11匹の避妊手術を行っていないメス猫を対象に、猫用ルームランナーが猫の活動性に与える影響を探索しています。
実験の大まかな流れは以下の通りです。
- 猫用ルームランナー紹介前、1週間の猫の活動性を記録
- 猫用ルームランナーが3週間紹介される(10分/日、5日/週)
- 猫用ルームランナー紹介後、1週間の猫の活動性を記録
猫に猫用ルームランナーが紹介されるときには、おもちゃやレーザーポインターなどが用いられ、猫が猫用ルームランナーを使用するように促したとのことです。下記の動画みたいな感じだと思われます(下記の動画はこの研究の動画ではありません)。
猫用ルームランナーはメス猫の活動性を高める
結果、メス猫においては猫用ルームランナー使用後1週間の夜の活動性が高くなるということが分かりました。一方で、オス猫に関しては猫用ルームランナーの使用後においても特に活動性が高まるということはありませんでした。
本当に猫用ルームランナーは猫の活動性を高めるのか?
では、上記の結果から猫用ルームランナーが猫の活動性を高めるということが証明されたのでしょうか?
残念ながら、この研究より猫用ルームランナーが猫の活動性を高めるということを結論づけることはできません。
対象となる猫の問題
この研究の対象となったメス猫は避妊手術を行われていませんが、オス猫は去勢手術を行われています。また、年齢もメス猫の方が若く、オス猫とメス猫で条件がかなり異なります。実際、メス猫では夜の活動性が高くなりましたが、オス猫では全く変化が観察されませんでした。
猫用ルームランナーと活動性の関係性
各猫が猫用ルームランナーを使用した際の時間やルームランナーの速度などが不明です。猫用ルームランナーの使用度合いと活動性の関係性を見ることで、より説得力が増すと思います。例えば、猫用ルームランナーを熱心に使用した猫ほど、その後の活動性が高くなるということがわかれば面白いですよね。
猫用ルームランナーでなくても良いのでは?
猫用ルームランナーを使用する際には、おもちゃやレーザーポインターなどが使用されたそうです。ということは、純粋な猫用ルームランナーの効果ではないということが言えます。つまり、猫用ルームランナーでなくとも、猫とおもちゃで遊ぶことで同様の効果が得られるのではないかということです。
まとめ
この研究から猫用ルームランナーが猫の活動性を高めると言いたいところですが、少々無理があります。この研究は研究デザイン上の問題点が多いため、もう少し洗練された研究が行われる必要があります。
一般の家庭では避妊・去勢手術が行なわれている猫の方が多く、そう言った猫ほど肥満などに悩まされることが多いので、せめて対象となる猫は避妊・去勢手術が行なわれている猫を使用するべきだったのではないでしょうか?
今回紹介した研究は無料で読むことができるため、是非、原著論文を読むことをお勧めします。
原著論文
Katelyn B. Detweiler, Samona Rawal, Kelly S. Swanson, Maria R. C. de Godoy.Physical activity level of female and male adult cats before and after running wheel habituation. Journal of Nutritional Science(2017). 6(17), pp1-4. https://doi.org/10.1017/jns.2017.19.
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