夏真っ盛り、気温も高く食欲がなくなってしまいますよね。1年を通じて見てみると、食事の摂取量が結構違うという方も多いと思います。それは猫にも当てはまるのでしょうか?イギリスのリバプール大学の研究チームが、猫は冬の方が食事の摂取量が増えることを明らかにしました。
食事の量を記録
イギリスのリバプール大学獣医学部の研究チームとフランスのロイヤルカナン研究センターは共同で研究を行い、4年間猫の食事の摂取量を記録し続けました。
この実験では38匹のイエネコ(猫種は様々)が対象となっており、猫の首輪にはマイクロチップが埋め込まれています。このマイクロチップの情報をフードディスペンサーが読み取り、猫が近づくと給餌されるとともに、猫の給餌量についても自動的に記録することが可能になっています。さらに、研究チームは猫の体重も定期的に計測し、季節による体重の変化も追っています。
大半の猫たち(30匹/38匹)は室内と室外に自由に行き来できるようになっており、外気温の変化を感じることができるようになっています。
冬の方がよく食べる
その結果、夏の月(6月〜 8月)では摂取量が最も少なくなり、 一方で晩秋から冬にかけての月(10月~2月)において摂取量が最も多くなりました(その差は約15%)。一方で、季節的な体重の変化は観察されませんでした。さらに統計学的な解析を行ったところ、日照時間と外気温の変化がキャットフードの摂取量に大きく影響を与えている可能性が示唆されました。このことは、猫の体重の変化がキャットフードの摂取量を変化させているのではなく、日照時間や外気温の変化が摂取量を変化させている可能性を示唆しています。
この研究では猫がキャットフードで摂取したエネルギー量や猫が実際に消費したエネルギー量などについては調べていません。しかし、キャットフードの摂取量が増え、体重の季節ごとの変動がないのであれば、猫のエネルギー必要量が季節ごとに変化していることが考えられます。そして、そのエネルギー必要量の変化は外気温や日照時間の影響を受けているのかもしれません。例えば、外気温が低い冬においては体温を保つためにエネルギーがより必要となり、たくさんキャットフードを食べるようになったりするのではないでしょうか。
しかし、日照時間の変化が摂取量を変化を引き起こすきっかけになっているのか、それとも日照時間の変化により外気温が変化し、それがきっかけで摂取量が変化するのかについては不明です。日照時間と外気温の変化自体も密接に関連しているため、猫のキャットフード摂取量の変化を引き起こす要因を突き止めることはできていません。
まとめ
自由に餌を食べれる環境にある半室内飼いの猫においては、冬の方がキャットフードの摂取量が15%ほど多くなり、その影響は日照時間や気温の影響を受けているようです。当然ですが、野良猫にこの結果を当てはめることはできません。野良猫の場合は季節ごとの獲物の数の変化などの影響を受けるからです。
今回の結果から学べることは、冬にはいつもよりも多めにキャットフードをあげ、夏になると少しキャットフードを減らしてあげる方が体重を維持するという面では良いのかもしれません。また、冬が終わった段階で愛猫があまりキャットフードを食べなくなったとしても15%程度であれば気にしなくても良いということなのかもしれません。
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参照文献
Samuel Serisier, Alexandre Feugier, Sébastien Delmotte, Vincent Biourge, Alexander James German. Seasonal Variation in the Voluntary Food Intake of Domesticated Cats (Felis Catus). PLoS ONE, 2014; 9 (4): e96071 DOI: 10.1371/journal.pone.0096071
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