
折れ耳の可愛らしい猫、それがスコティッシュ・フォールドです。ここ数年、スコティッシュ・フォールドは見た目や性格、座り方などから話題になり、急激に人気が出てきました。
著名人にも好かれており、もっとも有名なスコティッシュ・フォールドはTaylor Swiftに飼われているMeredithちゃんとOliviaちゃんです。日本では水原希子やくみっきー、横山由依、つるの剛などが飼っています。また、有名なスコティッシュ・フォールドとしては、海外でもかなり有名なShiShi-Maruなどもいます。しかし、スコティッシュ・フォールドには倫理的な問題が存在しており、そのことについて多くの人は知りません。本当にスコティッシュ・フォールドという猫種が好きなのであれば、スコティッシュ・フォールドを家族に迎えることをしないというのがベストな選択です。そのことを踏まえてこの記事を読んでください。
目次
スコティッシュ・フォールドの特徴
スコティッシュ・フォールドの被毛は様々
ここ20年間にわたり、アメリカン・ショートヘアやブリティッシュ・ショートヘアなどとの異系交配が行われてきたものの、スコティッシュ・フォールドは独自の外見を発展させていきました。毛の色はほぼ全ての色が見られ、長さ(長毛・短毛)もバラエティに富んでいますが短毛が多いようです。
スコティッシュ・フォールドの顔と体型
柄もソリッド(一色)からブチ柄など様々です。目の色に関しても多くの色がありますが、銅色(あかがね色;光沢のある,黒みがかった赤色)が最も一般的な色です。まん丸とした顔と大きくて愛らしい目、緩やかなカーブの低い鼻を持っており、体も丸みを帯びて、全体としてとても柔らかな印象です。体の大きさは猫の中ではちょうど中くらいです。

スコティッシュ・フォールドの性格
特定の人に対する忠誠心が強い
スコティッシュ・フォールドは好奇心旺盛で忠誠心が強いと言われています。家族全員のことが好きで、撫でられたりするのは大好きですが、彼らが最も愛情を注ぐ相手は家族の中でもある特定の人のみです。もし、飼っているスコティッシュ・フォールドがいつもある特定の人の周りにいる場合には、その人に対して忠誠心が強いということになります。
賢い
また、賢いため戸棚のドアの開け方を覚えて、中のものを覗いたり、訓練すればフェッチを学習することもできます。
かまわれ過ぎたり、長時間のお留守番は苦手
一般の人が想像する猫らしく、自律心があり、かまわれすぎるのは好きではありません。しかしながら、飼い主の注意や愛情も欲しいため、飼い主の膝の上には乗りませんが、飼い主の近くにいようとします。長時間のお留守番は苦手と言われています。
スコ座りとプレーリードッグ
水道から流れる水を直接飲むのが好きで、前脚を使って食べたり、飲んだりする猫もいます。何か物音がした時には、周りを見渡すためにプレーリードッグのような姿勢をとり、これがまた非常に可愛らしいです。さらに、スコティッシュ・フォールドの代名詞ともいえる「スコ座り」(Buddha postition)も有名です。
スコティッシュ・フォールドの社会性
寛容
社会性が高いため、子供や他の動物に対しても寛容で非常によく適応します。面白いことに、海外の小学校では小学校2年生の授業などにアシスタントとして、4匹のスコティッシュ・フォールドを用いているところがあるぐらいです。
ストーカー
物陰に隠れるなど恥ずかしがり屋な傾向はなく、常に飼い主のそばにいることを好み、部屋を移動する飼い主について回ることもあります。
スコティッシュ・フォールドのお手入れ/飼いやすさ
耳掃除を忘れずに
長毛種の場合、毎日のブラッシングとコーミングが必要になります。短毛種では週1~2回のブラッシングが必要です。また、折れ耳のスコティッシュ・フォールドの場合は耳の感染症などを予防するために定期的に耳掃除が必要になります。
誰とでも仲良し
スコティッシュ・フォールドは、大胆かつ寛容であるため、大抵の家屋環境にも適応し、子供や他の動物の騒ぎ声や鳴き声にも動じることはありません。
鳴き声は小さく、飼い主に従順
鳴くことも少なく、その鳴き声も小さいため、それを可愛く思う飼い主が多いようです。また、社会性が高いため、飼い主との深い絆で結ばれることが多く、飼い主に従順です。清潔な環境と十分な栄養、そしてたっぷりの愛情を惜しみなく注いであげれば、元気に成長し、良い家族になってくれます。
もし、そうならない場合には、明らかに飼い主の愛情不足といえるでしょう。
スコティッシュ・フォールドの罹りやすい病気
骨軟骨異形成症
スコティッシュ・フォールドは、特に不完全交配による健康問題を抱えることがあります。(同じ系統内での交配によってよく引き起こされます)。耳が折れる遺伝子を両親どちらともから受け継いだ個体(つまり、ホモ接合体)は先天性の骨軟骨異形成症 を発症しやすい傾向にあります。
この病気は骨の歪みや関節に骨瘤と呼ばれるコブができ、日常生活にとても影響を与えます。早期の警告サインは四肢やしっぽの肥厚、運動性の低下(柔軟性の低下)がなどが挙げられます。このような疾患があるものの、平均的な寿命は15~18歳と長いのが特徴的です。
骨軟骨異形成症について詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ。
耳の疾患
折れ耳の個体では、耳垢などが溜まったり、外耳道炎などが生じることがあるため、耳掃除を行いましょう。

スコティッシュ・フォールドの耳の折りたたまれ方
4種類の耳の折れ方
スコティッシュ・フォールドの特徴である垂れ耳には、4種類の形態があります。ストレート straight、シングルフォールド single fold(ルースフォールド loose fold)、ダブルフォールド double fold、トリプルフォールド triple foldです。
ストレート〜ダブルフォールド
ストレートは全く持って耳が折りたたまれておらず、スコティッシュ・ストレートと呼ばれることもあります。シングルフォールドは耳が若干横方向に垂れており、折りたたみが1回だけものになります。ダブルフォールドは耳が2回折りたたまれおり、前方へと耳が垂れています。しかし、額に耳が当たることはありません。
トリプルフォールド
トリプルフォールドは耳が3回折りたたまれているもので、耳が完全に額と平行に接しています。このトリプルフォールドはスコティッシュ・フォールドの特徴を持つとして、キャットショーなどで賞が与えられることが多いです。

スコティッシュ・フォールドの折れ耳の真実
仔猫の耳はまっすぐ
スコティッシュ・フォールドといえば、フォールド(fold;折りたたむ)という名前が付いている様に、小さな耳が前方にぺたんと折りたたまれている可愛らしい姿を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?しかしながら、他の種類の子ネコと同じ様に全てのスコティッシュ・フォールドの子ネコは真っ直ぐピンと立った耳を持って生まれてくるのです。
18~24日で折れてくる
耳が折りたたまれる遺伝子を持っていれば、18〜24日までの間に耳が折りたたまれます。一般的には50%程度が、この遺伝子を持っており、したがって残りの50%は耳が折りたたまれることはなく、立ったままなわけです。どちらも、非常に可愛らしいですが、購入しようとすると耳が折りたたまれている種類の方がやや高くなるようです。
スコティッシュ・フォールドに関する論争
倫理的な問題
スコティッシュ・フォールドはその見た目から人気を博し、ブリーダーなどにより繁殖させられてきました。しかしながら、やはり先天的に軟骨に異常があることが多く、そのような猫を繁殖することは、倫理的に問題があるという点で、多くの獣医師や団体などから繁殖を反対されています。当サイトもスコティッシュ・フォールドの交配に関しては反対であり、繁殖を禁止すべきだと考えています。2017年にはイギリスの上院にてスコティッシュ・フォールドを含めた先天性異常をもつ猫の繁殖に関する問題が発議されています(詳しくは「先天性異常を持つ猫や犬の交配に関する議論」の記事を参照ください)。
スコティッシュ・フォールドの呼び方
地域によって呼び方が様々
一部の地域では、Highland Fold ハイランドフォールドと呼ばれることもあります。カナダでは長毛種のことを Coupariと呼び、オーストラリアでは耳が折れていない個体を Scottish Shorthair スコティッシュ・ショートヘアーと呼び、別の種類で扱っている。一般的には、長毛種はスコティッシュ・フォールド・ロングヘアー、耳が折れていない個体を スコティッシュ・ストレートと呼びます。
スコティッシュ・フォールドのスコア
スコアの点数が高いほど、初心者でも飼いやすいことを示しています。
- 抜け毛:長毛種では毛がやや抜けやすく、服などにつきます。一方、短毛種では毛が抜けにくい。
- 鳴き声:鳴き声も小さく可愛らしいため、マンションなどでも飼いやすい。
- 社交性:社交性も高いため、子どもや他の猫、その他の動物とも仲良くできる。
- 運動量:運動量は長毛種と短毛種で多少異なるが、普通の猫並みの運動量を必要とする。
- お手入れ:長毛種では、ブラッシングの頻度が多くなるが、短毛種では少ない。
- 健康:先天性にかかりやすい疾患なども多少存在する。
- 知能:一般の猫よりもやや賢い。

注意事項:上記のスコアは、スコティッシュ・フォールドという猫種自体を評価したものではありません。あくまでも「飼いやすさ」に注目して、点数化したものです。また、全てのスコティッシュ・フォールドに当てはまるものではありません。個体差があることを忘れないで下さい。
スコティッシュ・フォールドの歴史
1796年
中国から帰還した船乗りがイギリスへと持ち帰ってきたという報告があります。
1961年
スコットランド、ダンディーの北東に位置するクーパー・アンガスと呼ばれる地域の農場で、McRaesにより飼われていた折れ耳の白猫、Susie スージーが William Ross の目に止まりました。スージーには仔猫がおり、そのうち2匹が折れ耳でした。Williamとその妻 Maryはその仔猫のうちの1匹を譲り受け、Snook スヌークという名前をつけ飼い始めました。
この時はまだ、スコティッシュ・フォールドという名前ではなく、Lop-eared 「垂れ耳」と呼ばれていました。特に William はその容姿と性格に惚れ込んでしまい、折れ耳の特徴を固定するための交配プログラムを開始しました。この時の相手はブリティッシュ・ショートヘアーや雑種の猫でした。
1960年代半ば
ブリーダー兼、遺伝学者のPat Turner がスコティッシュフォールドの交配プログラムに参加し始めました。彼女は3年間で76匹の仔猫(内訳:42匹が折れ耳、34匹がまっすぐな耳)を見届けました。この結果を受けて、彼女は同僚の Peter Dyte(遺伝学者)とともに折れ耳の遺伝子は優性遺伝子であると結論づけました。
また、最初のスコティッシュ・フォールドのSusieは長毛の遺伝子を持っていることも突き止めました。1966年には、イギリスのGCCFが新種として登録しました。そして、その猫種はスコティッシュ・フォールドと呼ばれるようになっていきました。しかしながら、GCCFは先天性疾患の危険性より1971年に登録を除外してしまいました。
1970年代
1970年代初め、スヌークの血を継ぐ仔猫がアメリカの遺伝学者 Neil Todd博士の元へと輸出されました。博士は遺伝子の自然変異を研究しており、スコティッシュ・フォールドがその研究対象として適していたのです。
博士の研究が終了したのち、研究の過程で生まれたスコティッシュ・フォールドなどはCFAに関連するブリーダーへと譲渡されました。その引き取り先の中には、アメリカでのスコティッシュフォールド発展の中心人物となるSalle Wolfe Petersがいました。
彼女を中心に、アメリカにて熱心な交配プログラムが行われました。この時にはブリティッシュ・ショートヘアーとアメリカン・ショートヘアーが交配相手になっていました。
1978年にはCat Fancier’s Association;CFAのチャンピオンシップブリードに登録されました。
1980年代半ば
多くの協会でスコティッシュ・フォールドの長毛種が新種として登録されました。
現在
今もなお、イギリスではスコティッシュ・フォールドという種は認められていません。
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