
アメリカン・ショートヘアーはCMなどでもよく目にし、猫に詳しくない方でも一度はその名前を耳にしたことのある猫種ではないでしょうか?
有名人では水川あさみさんや前田敦子さん、チュートリアルの徳井義実さん、おのののかさんなどが飼っています。
目次
アメリカン・ショートヘアの特徴
アメリカン・ショートヘアは筋肉質で、猫の中では中くらいからやや大きなサイズになります。もともとの労働猫(ネズミなどを捕らえるなどの仕事を持つ猫)らしく、均整のとれた耐久性のある体格をしています。最も一般的な色は、シルバーの毛に黒色の柄が入ったものですが、その他にもおよそ60種類の色があります。
アメリカン・ショートヘアの性格
穏やかだけど活発
気の良い性格で、おおらかな猫であると言われます。穏やかな気質ではありますが、もともと労働猫であったため、活動的でもあります。他の猫種と比べて、ある程度高齢になっても、運動量は少し多いようです。また、メスの方がオスよりもやや活発な傾向があり、オスの方よりゆったりとしています。
衰退しない狩猟本能
一般的に、非常に賢く、いろんな物によく興味を持ちます。多くのアメリカン・ショートヘアは狩りの本能をいまだに持っており、特に家の中では虫などを相手に家の至る所で狩りにいそしみます。また、鳥が飛んでいるのを見たり、窓から見える様々な光景を眺めるのも好きです。
膝も好きだけど、一人も好き
多くのアメリカン・ショートヘアはLap cats、すなわち膝に乗ってきたりと人との接触を好むので、膝に猫を乗せてゆったりとした時間を過ごしたい人にはオススメです。しかしながら、人と関わらない独りの時間も彼らにとっては非常に大切なため、そーっとしておくことも重要です。
アメリカン・ショートヘアの社会性
アメリカン・ショートヘアは、どんな家庭にも非常によく適応する猫種の1つです。例えば、一人暮らしならば、良い仲間に、高齢の方であれば、彼らは穏やかで献身的なペットになってくれます。子供のいる家庭なら、その気の良い性格や活動的なことから子供との相性がよく、すぐに馴染じみ、欠かせない家族の一員となってくれます。
他の猫や動物にも非常に寛容なことで知られています。
アメリカン・ショートヘアのお手入れ/飼いやすさ
一人遊びが得意
忙しい家庭であっても、アメリカン・ショートヘアは寂しがり屋ではありませんので、一人でも何か面白いことを見つけて楽しむことができます。家屋環境に関しても、一軒家もしくはマンションどちらでも問題なく適応し、猫を飼うのが初めての方でも非常に飼いやすい猫と言えるでしょう。
健康体
アメリカン・ショートヘアは世話が多く必要な猫ではありません。猫種の中でも、健康的な種類ですので、バランスの良い食事、予防接種、定期検査など基本的なことさえ押さえておけば大丈夫です。
お手入れと遊び方
頻繁にしなくても良いですが、1週間に1度程度はグルーミングをしてあげましょう。短毛ですのでそれほど大変ではないでしょう。良いスキンシップの時間になります。
また、ただ駆け回るような運動ではなく、獲物を狙うような意図のある運動を好みますので、遊んであげるときは、狩りを意識した遊びをしてあげると良いでしょう。
Score アメリカン・ショートヘア
Scoreが高いほど、初心者でも飼いやすいことを示しています。
- 抜け毛:抜け毛はありますが、気にならない程度です。
- 鳴き声:個体差がありますが、比較的静かです。
- 社交性:子供、他の猫、動物ともうまくやっていけます。
- 運動量:個体差がありますが、運動量は普通です。肥満になることが多いため、1日2回は遊びましょう。
- お手入れ:ブラッシングは最低限1週間に1回は必要です。
- 健康:すごく健康であるため、先天性の病気などは気にしなくても良いです。歯の疾患や肥満だけには気をつけましょう。
- 知能:高い方です。
注意事項:上記のスコアは、アメリカン・ショートヘアーという猫種自体を評価したものではありません。あくまでも「飼いやすさ」に注目して、点数化したものです。また、全てのアメリカン・ショートヘアーに上記の評価が当てはまるものではありません。個体差があることを忘れないで下さい。
アメリカン・ショートヘアの罹りやすい疾病
いたって健康!
アメリカン・ショートヘアーの祖先は体の丈夫な労働猫であり、さらには、その後の交配でも体の丈夫な猫種との交配がされたため非常に健康で丈夫な体を有する猫種の1つと言われています。
肥大性心筋症
強いて挙げるならば、肥大性心筋症になる可能性がやや高いと言われますが、ほとんどが高齢になってからです。
肥大性心筋症は心拍出量(心臓から全身の臓器に送られる血液量)が減少する疾患で、心室壁の筋肉肥大に特徴づけられる病態です。重症になると運動した時などに動悸(どうき)や息切れ、胸痛などの症状が現れます。
初期のサインはわからないことが多いですが、高齢になり特に運動時の息切れ、手足が冷たい、咳をするなどの症状が見られたら、すぐにかかりつけの獣医に診てもらいましょう。しかしながら、平均寿命は15年〜20年と、長生きします。
アメリカン・ショートヘアの歴史
アメリカンショートヘアーの起源はおよそ400年前、イングランドから大西洋を渡ってきたイギリスの一般的な家猫に始まります。家に住み着くネズミを退治してくれることから、古くから非常に有能な労働猫として高く評価されていました。このような優れた能力を持つため、ネズミによる病気の蔓延や大事な食料を守るために航海に連れいていくことも珍しいことではありませんでした。
1630年頃
新大陸開拓を目指し、大西洋を渡ってきたメイフラワー号に同様の理由から一緒に連れて来られてきた数匹の猫たちが、新大陸すなわちのちのアメリカに上陸したと言われています。実際に、Cat Fancier’s Association; CFAの猫種判定員であり、アメリカン・ショートヘアーのブリーダーでもあるMrs. Kay Thoma McQuillen は、自身の家庭用聖書(家族の結婚や誕生を記録するためのページのある大きな聖書)に、彼女のひいひいおばあさんにあたるMrs. Heaney が、メイフラワー号にメスのショートヘアー(Calico; カリコ)を一緒に乗せてきたとの記述があることを報告しています。そして、プリマス(現在のマサチューセッツ州東岸)に上陸後すぐに、そのショートヘアーは仔猫を生みました。おそらく、船内にはオスのショートヘアも乗っていたのでしょう。 この猫たちが現在のアメリカン・ショートヘアーの祖先になります。
イギリスからの移民が進むにつれて、ネズミの増殖を抑えるためにより多くのショートヘアーがイギリスより輸入されるようになりました。当時、これらの猫たちには、美しさよりも丈夫さや優れた狩の能力が求められていました。疫病や食糧に害を及ぼすネズミを捕獲する猫たちがいなければ、アメリカ合衆国はこれほどまでに発展しなかったともいわれるほどです。
1700年頃
The Dell Encyclopedia of Catsでは、1749年にペンシルベニア州において、ラット(ネズミ)の疫病を抑制するために、ショートヘアー持ち込まれたと報告があります。
1800年頃
1849年のサンフランシスコのゴールドラッシュの時には、優秀な狩り能力を有したショートヘアを炭坑夫が、およそ50$で購入していました。この頃になると、イギリスからだけではなく、その他の国からも多くのショートヘアーが輸入されました。1884年の疫病流行時、ショートヘアはおよそ50$~100$で売買がなされたと言われます。
このように、主にイギリスから渡ってきたショートヘアーはアメリカ全土に広がり、その数もますます増えていきました。すると、農家や炭坑夫は、以前のような優れた狩り能力やその人になじみやすい性格に加えて、華やかな色や大胆な柄を持ち、そしてより身体能力の高そうな仔猫を選んで育てるようになりました。この過程で、健康でないもの、賢くないもの、また能力に優れないものは自然淘汰されていきました。
1900年頃
結果的に様々な地域からのショートヘアーの幅広い遺伝子が現在のアメリカン・ショートヘアーのもとになりました。従って、近親交配が起こっても、その多様な遺伝子のおかげで、その他の種が通常直面するような近親交配の問題は生じず、順調にその数を増やして行きました。
1980年ほどまでは、その他の種類の猫が輸入されることはなかったので、血統は必要ありませんでした。すなわち、血統はデフォルトで純血が保たれました。
ただし、ショートヘアーがやってくるよりも先にサイベリアンやノルウェージャン・フォレスト・キャットが連れてこられていたかもしれない、ニューイングランド以外の土地に限ります。
他の種類の猫が外国から輸入されてくると、昔からアメリカに存在していたショートヘアーを育てるブリーダーは、国産のものを固有な種類のものとするため、輸入された他の種類と混ざることがないように選択的な交配を始めました。
これらのショートヘアーが改めて、アメリカン・ショートヘアーと名前がつけられ、キャットショーでも認知度が瞬く間に広まり、チャンピオンシップステータスにも登録されるようになりました。
このように、アメリカン・ショートヘアーは自然に存在していた猫種ではありますが、今日私たちが知っているアメリカン・ショートヘアーになるまでには選択的な交配が行われてきた過程があります。
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