
アビシニアンは、そのとてつもなく綺麗な被毛が特徴的な猫種です。その活発さと素早さ、頭の良さから、猫界のボーダーコリーとも言われています。また、好奇心旺盛であり、常に動きまわり、飼い主を楽しませてくれることから、猫界のピエロとも呼ばれています。
日本では「アビちゃん」、海外では「Aby ; アビ」などのニックネームで呼ばれています。芸能人では、チュートリアル徳井さんや、あいのりに出演していた桃さんなどがアビシニアンを飼っておられます。
また、長毛種の遺伝子を持つ場合にはソマリという猫種になります。
アビシニアンの特徴
アビシニアンの外見は小型のピューマを彷彿させます。美しい被毛は、ティックドタビーと呼ばれ、一本の毛に3~4層の色が重なっています。毛色は、ルディ、ブルー、シナモン、フォーンなどがあります。また、目の形もアーモンド状で愛らしく、その色にはグリーン、ヘーゼル、ゴールド、カッパーがあります。体の大きさは中くらいで、スリムな体型をしています。平均寿命は約12~15歳です。

アビシニアンの性格
ベストパートナー
アビシニアンは人間に対して、社交的であり、忠誠心も強い性格をしています。飼い主がおこなっていることは、必ず自分もしようとします。ともかく、飼い主の生活に参加するのが好きです。そして、多くの方は、アビシニアン中毒になり、アビシニアンしか飼えないようになります。それらのアビシニアン愛好家は、アビシニアンは人間のベストパートナーとなる猫であると断言するほどです。
運動大好き!

アビシニアンの運動量は多く、常に遊んだり、走り回ったり、高いところに登ったり、探索したりとそのお茶目な行動で飼い主を楽しませてくれます。これが、猫界のピエロの由縁なのです。
興味津々!頭も良い
アビシニアンは好奇心旺盛で、少しでも動くものがあったり、音が聞こえただけで、その場所に行き、探索を始めます。縄張りは徹底的に調べたい主義なのです。
知能も高いため、飼い主をしつけることも得意としてます。どのような行動をすると、自分の望んでいる行動を飼い主がしてくれるのかをすぐさま学習します。
アビシニアンの社交性
主導権はアビシニアン
アビシニアンは何に対しても社交的ですが、特に人間は大好きです。ただし、独立心もあるため、膝の上で執拗に撫でられるのが好きな猫ではありません。そのため、飼い主のテンポで、抱かれることを嫌がります。アビシニアンのペースで、飼い主の膝の上に上がってきますので、それまで待ちましょう。
誰とでも仲良し
他の種類の動物、猫ともうまくやっていくことができます。
もちろん、子供ともうまくやっていきます。賢いため、危険を察知して、幼児などから距離を保つことができるからです。ただし、子供には猫との正しい接し方を教えましょう。
猫界のピエロ image by John Morton via Flickr
アビシニアンの罹りやすい疾患
歯のケア
たいていのアビシニアンは健康的ですが、歯肉炎や虫歯などには気をつけなければなりません。そのため、適切な歯のケアが大切になります。
先天性疾患
アビシニアンは遺伝的なものとしてアミロイドーシスやビルビン酸キナーゼ欠乏症、進行性網膜萎縮症など罹ることがあるため、注意が必要です。もし、ブリーダーなどから引き取る場合は、それらの遺伝子の検査をおこなっているかを聞く必要があります。愛猫のアビシニアンのことが心配な方は、遺伝子検査をすることをお勧めします。
後天性疾患
アビシニアンは他の猫よりも膝蓋骨脱臼や股関節形成不全、知覚過敏症などにもかかりやすいです。
アビシニアンのお手入れ/飼いやすさ
お手入れ
アビシニアンは短毛かつ抜け毛は少ないため、ブラッシングの頻度も少なくて良いです(最低1回/週)。ただ、飼い主との交流なども好きなため、ブラッシングなどを頻繁にすることで、絆を深めることができます。
歯のケアは忘れないようにしましょう。
運動量
アビシニアンは運動量が多いため、よく遊び、エネルギーを発散してあげることが重要です。必ず、キャットタワーなどを設置し、高いところに登れる環境を設定しなければなりません。もし運動不足になると、退屈とストレスより、問題行動が多く観察されるようになります。そのため、遊びに多くの時間とお金が費やされます。
飼いやすさ
社交的であるため、他の猫や動物、子供ともうまくやっていけます。ただし、その数が多すぎる場合にはストレスになります。なぜなら、アビシニアンは注目されるのが好きだからです。
本来のアビシニアンは、鳴き声は小さく、あまり鳴きません。しかし、鳴くことで飼い主の注意を引けると学習した際には、頻繁に鳴くようになります。気をつけましょう。
Score アビシニアン
Scoreが高いほど、初心者でも飼いやすいことを示しています。
- 抜け毛:毛は抜けにくいため、服などに毛がつくことは少ない。
- 鳴き声:小さく可愛らしいため、マンションなどでも飼いやすい。
- 社交性:社交性も高いため、子どもや他の猫、その他の動物とも仲良くできる。
- 運動量:運動量が多いため、毎日2回は遊ぶ必要がある。
- お手入れ:最低限1週間に1回はブラッシングが必要である。歯磨きを忘れてはいけません。
- 健康:先天性の病気が多いため、入手するときには検査をしているか聞きましょう。罹りやすい病気も多いので、健康管理をしっかりとすることを勧めます。
- 知能:たいへん賢い。
注意事項:上記のスコアは、アビシニアンという猫種自体を評価したものではありません。あくまでも「飼いやすさ」に注目して、点数化したものです。また、全てのアビシニアンに当てはまるものではありません。性差や個体差があることを忘れないで下さい。
image by Traci Lawson via Flickr
アビシニアンの歴史
アビシニアンの起源については知られていないことが多いですが、最も古い猫種のひとつであることは間違いありません。4000年前のエジプトでは、すでに崇拝の対象として、アビシニアンに似た猫の壁画が見つかっています。
また、近年の遺伝子学的研究から、アビシニアンは、インド洋沿岸や南アジアに生息していたヤマネコに起源があるとされています。また、イエネコの祖先と考えられているリビアヤマネコと身体的特徴が類似しているところも多いことが指摘されています。ただし、現代のアビシニアンは、オリジナルのアビシニアンとは異なる特徴を持っていると考えられています。そして、その現代アビシニアンの血統に強く影響を与えたのは、イギリスのブリーダーたちです。
1868年5月
イギリスはエチオピアとの戦争に勝利し、アビシニアから兵を撤退させました。その際、「Zula」というアビシニアンが、Lt. Gen. Sir Robert Napierとその船員によってアビシニアからイギリスへと持ち帰られました。
1871年
イギリス・ロンドンのCrystal Palaceで行われた初めてのキャットショーにて、アビシニアンは3位となりました。その際、アビシニアンは、アビシニアから連れてきた猫として紹介されました。
1874年
スコットランド人のDr. William Gordon Stablesが著した本の中で、「Zula」がMrs. Captain Barrett-Lennardによって飼われている、アビシニアンとして正式に紹介されました。
それ以降
イギリスのブリーダーたちによって交配が進められ、現代のアビシニアンの血統ができたとされています。
しかしながら、本当にイギリスに輸入されてきたアビシニアンをベースに交配が進められたという公的な文章も残っていません。そのため、イギリス人ブリーダーの多くは、ブラウンタビーもしくはシルバータビーの猫と、ティックドタビーを有しているイギリス特有の猫を交配して現代のアビシニアンが作られたのではないかと考えています。
その他のシナリオ
1830年代:オランダのthe Leiden Zoological Museum(博物館)でアビシニアンに似た猫が剥製として展示されていたという報告もあります。アビシニア戦争よりも前に、イギリスやオランダはインドと交易をしており、その際にアビシニアンがイギリスに輸入されていたことも考えられます。
このように、オリジナルのアビシニアンの起源だけでなく、現代のアビシニアンの血統の起源についても分からなことが多いのが現状です。
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TICA, CFA, petMD, International Cat Care, cattime.com, AnimalPlanet
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